アリアンスペース社は2015年9月30日(現地時間)、通信衛星「スカイ・マスター」と「ARSAT-2」を搭載した、「アリアン5 ECA」ロケットの打ち上げに成功した。アリアンスペース社のロケット打ち上げは今年9機目となり、すべて成功。またアリアン5の連続打ち上げ成功記録は68機、またアリアン5 ECAに限ると51機の連続成功となった。
ロケットはクールー現地時間2015年9月30日17時30分(日本時間2015年10月1日5時30分)、南米仏領ギアナのクールーにある、ギアナ宇宙センターの第3アリアン発射場(ELA-3)から離昇した。ロケットは順調に飛行し、打ち上げから約28分後にスカイ・マスターを、さらにその約4分30秒後にARSAT-2を分離し、予定nの軌道へ投入した。
スカイ・マスター(Sky Muster)はオーストラリアのNBN社が運用する通信衛星で、米国のスペース・システムズ/ロラール社が製造した。202基のKaバンド・トランスポンダーを搭載しており、オーストラリア大陸と、その周辺のノーフォーク島、クリスマス島、マッコーリー島、ココス島に向けて、高速ブロードバンド通信サーヴィスを提供する。打ち上げ時の質量は6440kg、東経135度から150度の静止軌道で運用され、設計寿命は15年以上が予定されている。
ARSAT-2は、アルゼンチンのARSAT社が運用する通信衛星で、同じくアルゼンチンのINVAP社が製造した。26基のKuバンド、10基のCバンド・トランスポンダーを搭載しており、米国やアルゼンチン、カナダに向け、DTH、VSATシステムでのインターネット・アクセス、データ通信やIPフォン通信サーヴィスを提供する。打ち上げ時の質量は2977kg、西経81度の静止軌道で運用され、設計寿命は15年が予定されている。
今回の打ち上げは、アリアンスペース社にとって今年7機目(アリアン5が4機、ソユーズが1機、ヴェガが2機)となり、すべて成功している。
アリアン5は、エアバス・ディフェンス&スペース社が製造しているロケットで、アリアンスペース社によって運用されている。アリアン5シリーズは今回を含めて82機が打ち上げられているが、そのうちロケットが爆発、墜落、衛星を予定通りの軌道に投入できなかったりといった明確な失敗を4度起こしており、成功率は95%ほどである。
しかし、アリアン5シリーズ全機を通した連続打ち上げ成功記録は今回で68機となり、さらに現在主力として活躍中のアリアン5 ECAは、52機の打ち上げの中で失敗は1号機のみで、2号機以降51機の連続成功を成し遂げ、打ち上げ成功率は98%を超えている。
アリアン5 ECAは現在、その高い信頼性を武器に、静止衛星の商業打ち上げ市場において、約半分以上のシェアを握っているが、米国などではアリアン5より安価なロケットが出現しつつある。そこで、より打ち上げ能力を高め、一方でコストを約半額に抑えた後継機「アリアン6」の開発が始まっている。アリアン6は2020年から運用が始まる予定となっている。
■Arianespace - Press Release - Flight VA226 success: with Sky Muster and ARSAT-2 in orbit, Arianespace serves Australia and Argentina
http://www.arianespace.com/news-press-release/2015/9-30-2015-VA226-launch-success.asp
Image Credit: Arianespace