
(引用元:IHI , ノースロップ・グラマン)
静止軌道には気象衛星や準天頂衛星,放送・通信衛星等,現在の経済・社会活動に欠かせない衛星が多数運用されており,社会基盤の一部を構成しています。 これら衛星に対するサービス事業も始まり,静止軌道を友好的に移動する衛星がある一方で,動き回る挙動不審な衛星も増えています。 このため,2022年12月に制定された「国家安全保障戦略」や「国家防衛戦略」にも持続的な経済活動と安全保障の双方の観点から,宇宙領域把握の体制強化や,宇宙状況監視衛星の必要性が明記されています。
今回,IHIとノースロップ・グラマンは, 日本および米国,さらにはグローバルな宇宙安全保障に貢献するため,ノースロップ・グラマンの既存の衛星バス(※2)を利用して,宇宙状況監視等に求められる小型・高機動性を有する衛星の日本への提供を目指し,連携して活動を行うことで合意しました。
IHIは10年以上にわたり自社設備を利用して,安全な衛星運用のための宇宙状況監視サービスを行っており,宇宙物体,特に近年の静止軌道帯の衛星の動きには大きな関心を持ち,知見を蓄積してきました。 また,IHIグループの株式会社IHIエアロスペース(本社:東京都江東区,社長: 並木 文春,以下,「IA」)は,ノースロップ・グラマンが製造する人工衛星/宇宙船に対して推進装置を長きにわたり提供しており,両社の間には相互の信頼感に基づく深い協力関係が構築されています。
ノースロップ・グラマンは,10年以上にわたり,宇宙環境を監視し,軌道上物体の探知・識別等を支援する地上および衛星製品を提供し続けてきました。ノースロップ・グラマンは,低軌道及び静止軌道における接近・近接運用能力の実践をリードしており,お客さまにとって鍵となる多岐にわたるミッション領域をまたぐロジスティクス,軌道上サービス及び検査能力を提供しています。
本覚書締結にあたり,IHI航空・宇宙・防衛事業領域 並木文春 副領域長兼IA社長は,「昨今,他国の軍事状況や能力把握のため様々な試みが行われており,安全保障上の脅威となっている。 宇宙においても,不審衛星の識別と脅威把握は喫緊の課題と認識している。ノースロップ・グラマンは本分野で経験と実績を持っている。 IHIグループとノースロップ・グラマンは協働の長い歴史もある。 課題解決にあたって,ノースロップ・グラマンは最高のパートナーであり,協力して宇宙の安定的利用に貢献していく」と連携の意義を語っています。
また,ノースロップ・グラマンのナショナル・セキュリティ・システム部門トロイ・ブラシア副社長は,「IHIとの提携は,日本の宇宙ビジネスにおけるIHIの長い伝統とノースロップ・グラマンの宇宙領域監視における比類ない経験を組み合わせることになる。日本向けの適正な価格で効果的な宇宙状況監視ソリューションのため、共に速やかに協力を進めていきたい」と述べています。
IHIとノースロップ・グラマンは,ますます重要になる宇宙,特に静止軌道で持続的な宇宙活動とグローバルな宇宙安全保障への貢献に向けて,協力して取り組んでいきます。