2022年が始まりました。今年の宇宙開発ではどのような動きが予定されているのでしょうか? 2022年に予定されている宇宙開発を前編と後編に分けてご紹介します。
後編の今回は、月・火星探査など宇宙探査に関する動向をピックアップして紹介します。前編は以下からご覧下さい。
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※本記事は2022年1月23日現在の情報をもとにしています
民間企業が月面へ!
2022年は、民間企業による月面着陸が本格的に実施される予定です。これまで月面に降り立った着陸機(ランダー)は、国家や宇宙機関が開発・運用を主導してきました。今年は民間企業が開発したランダーが月に着陸する予定になっており、月面探査がさらに進むと予想されます。
その背景には、アメリカ航空宇宙局(NASA)の商業月輸送サービス(Commercial Lunar Payload Services: CLPS)があります。CLPSは民間企業が提供するペイロード(探査機器などの荷物)の輸送サービスをNASAが購入する仕組みです。
2022年はCLPSのもとで、アメリカのインテュイティブ・マシーンズが開発した無人月着陸船「Nova-C」がスペースXの「ファルコン9」ロケットによって打ち上げられる予定です。当初Nova-Cは2021年に打ち上げられる予定でしたが、スペースXの都合により2022年に延期されていました。
また、インテュイティブ・マシーンズは、2022年12月にも別の無人月着陸船を月面に送り込むミッションを計画しています。このミッションではNASAが開発した実験装置「PRIME-1(Polar Reasources Ice Mining Experiment-1)」が着陸船に搭載されます。PRIME-1は月や火星といった現地の資源を利用する「その場資源利用(ISRU:In-Situ Resource Utilization)」技術の実証を目的としており、月の極域に存在すると考えられる氷を採取する予定です。
ロシアも月へ!
ロシアは無人月着陸船「ルナ25号」を2022年7月に打ち上げる予定です。同国にとって旧ソ連時代以来、45年ぶりに実施される月面探査ミッションとなります。
ルナ25号は月の南極に着陸して、地表の調査などを実施します。月の南極は観測結果から水の氷が存在する可能性が導き出されており、将来の有人月着陸地点の候補にもなっています。ルナ25号はもともと2021年10月にロシア・ボストチヌイ宇宙基地から打ち上げられる予定でしたが、宇宙船の着陸システムに問題が見つかったため延期されています。
火星・木星・小惑星探査
2021年は複数の探査機や探査車(ローバー)に加えてヘリコプターまでもが火星の周回軌道や表面へ到達し、各々のミッションをスタートしました。2022年は約2年ぶりに地球と火星が探査機の打ち上げに適した位置関係になるため、新たな火星探査機の打ち上げが予定されています。
欧州宇宙機関(ESA)とロシアの宇宙機関ロスコスモスは、欧露共同の火星探査ミッション「エクソマーズ」2回目の探査機打ち上げを2022年8月から9月に計画しています。今年打ち上げられるのは定点観測を担う地表プラットフォーム「Kazachok(カザチョク)」と探査車「Rosalind Franklin(ロザリンド・フランクリン)」で、2023年6月に火星へ着陸する予定です。
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ESAは木星の氷衛星を観測するミッション「JUICE(Jupiter Icy moons Explorer)」の探査機打ち上げも2022年5月に予定しています。JUICEのミッションには日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)も参加しており、2029年に木星圏へ到着した探査機は木星の衛星ガニメデ・エウロパ・カリストの探査を行う予定です。
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また、2022年8月にはNASAのジェット推進研究所(JPL)が小惑星探査機「Psyche(サイキ※)」の打ち上げを予定しています。
サイキの目的地は火星と木星の間にある小惑星帯を公転する小惑星「プシケ(Psyche)」です。プシケは鉄やニッケルといった金属を豊富に含むM型小惑星に分類されており、サイキは史上初となる金属質の小惑星を間近で観測するミッションに挑戦します。スペースXの「ファルコン・ヘビー」ロケットで打ち上げられたサイキは、2026年にプシケへ到着する見込みです。
※…探査機およびミッションの名称には「Psyche」の英語読みを用いています
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このように、2022年も多くの宇宙探査や宇宙開発ミッションが予定されています。世界中で宇宙開発や宇宙ビジネスが盛んになる今、どのような新たな取り組みが行われるか、注目していきます。
Image Credit: Intuitive Machines/Roscosmos/ESA
Source: Space.com
文/出口隼詩