2022年が始まりました。今年の宇宙開発ではどのような動きが予定されているのでしょうか? 2022年に予定されている宇宙開発を前編と後編に分けてご紹介します。

前編の今回は、新型の有人宇宙船やロケットなどの動向を見ていきます。なお、2021年の宇宙開発については以下の関連記事をご覧下さい。

関連:2021年に注目された「宇宙天文ニュース」〜前半:宇宙開発編〜

※本記事は2022年1月5月時点の情報をもとにしています

巻き返しなるか? ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」

ボーイングとアメリカ航空宇宙局(NASA)は、共同開発中の新型有人宇宙船「スターライナー」による2回目の無人軌道飛行試験「OFT-2」(Orbital Flight Test-2)を2022年5月以降に実施する予定です。

1回目の無人軌道飛行試験「OFT-1」は2019年12月に行われましたが、ソフトウェアの問題によって予定されていた軌道へ入ることができず、目的地であるISSにドッキングせず帰還しました。次のミッションであるOFT-2は2021年に実施される予定でしたが、こちらは帰還前に切り離されるサービスモジュールのバルブの問題により延期されています。

関連:スターライナー宇宙船の無人試験、打ち上げを再延期へ バルブの不具合が見つかる

アトラスVロケットの先端に取り付けられるスターライナー宇宙船(Credit:NASA/Boeing)

【▲アトラスVロケットの先端に取り付けられるスターライナー宇宙船(Credit:NASA/Boeing)】

OFT-2の飛行に成功した場合、スターライナー初の有人軌道飛行試験「CFT」(Crew Flight Test)が2022年中に行われる予定です。CFTでは3人のNASA宇宙飛行士がスターライナーに搭乗し、ISSへ向かいます。

数年間の打ち上げ延期を余儀なくされているスターライナー。果たして2022年にその打ち上げを見ることができるのか。期待が集まっています。

相次いで予定されている新型ロケットの打ち上げ

2022年はアメリカで新型ロケットの打ち上げが幾つか予定されています。一部をピックアップしてご紹介します。

● スペースXの新型宇宙船「Starship(スターシップ)」初の軌道試験飛行

スペースXが現在開発を進めている次世代宇宙船「スターシップ」は、2020年から実機スケールでの飛行試験が進められており、その様子は世界中を驚かせてきました。2022年は3月頃を目標に、スターシップが初めて宇宙空間に到達する軌道飛行試験が実施される予定です。

全長50mのスターシップは、軌道飛行時に用いられるブースター「スーパーヘビー」を結合すると全長120mとなり、世界最大の大きさになります。なお、2021年までにテキサス州のスペースX施設で実施されてきた高高度飛行試験とは異なり、初の軌道試験飛行で打ち上げられたスターシップは軌道を周回した後に太平洋へ着水します。

関連:全長120m! スペースXのスターシップ試験機がブースターに搭載される

スーパーヘビー試験機「BN4」に搭載されたスターシップ試験機「SN20」。イーロン・マスク氏のツイートより(Credit: SpaceX/Elon Musk)

【▲スーパーヘビー試験機「BN4」に搭載されたスターシップ試験機「SN20」。イーロン・マスク氏のツイートより(Credit: SpaceX/Elon Musk)】

● NASAの超大型ロケット「SLS(スペースローンチシステム)」

NASAが推進する有人月面探査計画「アルテミス」では、2025年までに再び人類を月面へ着陸させることを目指しています。実現すれば、1960年代~70年代にかけて実施されたアポロ計画以来、およそ半世紀ぶりに人類が月へ戻ることになります。

2022年はその計画の第一段階である「アルテミス1」ミッションがついに行われます。アルテミス1では、NASAが長年開発してきた大型ロケット「SLS」の飛行試験と、SLSに搭載される新型有人宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」の無人飛行試験が実施されます。SLSの初号機はすでに組み立てが完了し、現在は地上設備との試験などを行っており、今年3月以降に打ち上げられる予定です。

関連:NASA新型ロケット「SLS」ついに完成!新型宇宙船「オリオン」初飛行の打ち上げは2022年2月に

【▲ NASAが開発中の超大型ロケット「SLS」(Credit: NASA)】

● ULAの新型ロケット「ヴァルカン」

アメリカの民間宇宙企業ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)は、新型ロケット「ヴァルカン」の初打ち上げを実施する予定です。ヴァルカンはこれまで同社が運用してきた「アトラスV」「デルタIV」といったロケットの後継機にあたります。

なお、アトラスVの第1段にはロシア製のエンジンが使用されてきましたが、ヴァルカンの第1段にはブルーオリジンが開発・製作したアメリカ製のエンジン「BE-4」が搭載されます。

【▲ ULAが開発中の新型ロケット「ヴァルカン」(Credit: United Launch Alliance)】

● ブルーオリジンの新型ロケット「ニューグレン」

2021年に再利用型ロケット「ニューシェパード」による初の民間有人宇宙旅行を実施したブルーオリジンは、新型ロケット「ニューグレン」の開発を進めています。

ニューグレンの名は、NASA初期の有人宇宙飛行計画「マーキュリー」の飛行士だったジョン・グレンから命名されています。スペースXの「ファルコン9」ロケットと同様に、ニューグレンの第1段は再利用が可能となっています。

【▲ ブルーオリジンが開発中の新型ロケット「ニューグレン」(Credit: Blue Origin)】

このように、2022年は新型ロケットの誕生が予想されていますが、開発の遅れなどでさらに延期となる可能性も考えられています。soraeでも日々の動向を追いながら、最新情報をお伝えしていきます。

 

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Source: Space.com
文/出口隼詩