4月23日に軌道投入に成功したクルードラゴン運用2号機ですが、再使用ロケットの歴史において画期的なできごとでした。

今回用いられたクルードラゴンの人員搭乗カプセル部分は、2020年に打ち上げられた有人試験飛行(Demo-2)フライトで用いられた機体を再整備して使用しました。これまで有人宇宙機で再使用した機体を用いたのはアメリカのスペースシャトルが唯一でしたが、二例目の成功となります。また、民間が開発・運用する宇宙船での再使用は今回が初めてです。

ケネディー宇宙センターから打ち上げられたクルードラゴン宇宙船

【▲ ケネディー宇宙センターから打ち上げられたクルードラゴン宇宙船(Credit: SpaceX Youtube)】

再使用するメリットは、コストの削減にあります。スペースシャトルを除く有人宇宙船と打ち上げロケットは、全て使い捨てです。有人ロケットの中で特に高価なのは宇宙船部分とエンジンですが、再使用できれば圧倒的なローコストを実現可能です。当然ながらここを目指して技術開発が行われてきました。

スペースシャトルは再使用の一つの答えでしたが、完全なものではありませんでした。再使用前の整備、特に耐熱タイルの点検と交換に当初計画以上のコストと時間がかかることが分かった結果、「週に1回」と宣伝されていた打ち上げ頻度は1年当たり4.5回、30年で135回という回数になりました。計画開始時は1回の飛行あたりおよそ1,200万ドル(1ドル=105円として12億6,000万円)という見積もりでしたが、コロンビアの事故前で約4億5,000万ドル(472億5,000万円)、事故後は追加対策が必要になったため約10億ドル(1,050億円)に膨らんでしまったのです。

打ち上げの際の緊急事態に対する安全性の欠如もありました。打上げから2分後に固体燃料補助ロケット (SRB)を切り離すまで、乗組員には脱出手段がないのです。

スペースシャトルの打ち上げ

【▲ スペースシャトルの打ち上げ(Credit: NASA)】

クルードラゴンはこうした不備を充分に埋められる可能性があります。ロケット本体はファルコン9で、これは安定して回収と再使用に成功しています。カプセル再使用はこれからの実績で変わってくるところです。現在のところ、1人あたり5,500万ドル(57億7,500万円)という数字が報じられています。単純に4倍すれば2億2,000万ドル(231億円)となりますが、シャトルに比べれば非常に安価だと言えるでしょう。

費用面で比較するならば、使い捨てであるロシアのソユーズとの差額も検討する必要があります。2020年の資料では、ソユーズを使用した場合の費用は宇宙飛行士1人につき8600万ドル(約90億3,000万円)という実績が明らかになっています。これはクルードラゴンを上回ります。スペースX社は、使い捨てロケットを下回る金額で有人機を打ち上げることに成功しているのです。

ソユーズ宇宙船

【▲ ソユーズ宇宙船(Credit: NASA)】

およそ半年後、運用2号機が無事に地球帰還を果たせば、再使用宇宙船は新たな時代を迎えることになるのです。

 

Image Credit: NASA , SpaceX
記事/金木利憲

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