中華人民共和国(中国)は2015年11月8日(中国標準時)、地球観測衛星「遥感二十八号」を搭載した長征四号乙ロケットの打ち上げに成功した。
中国政府の発表によれば、遥感シリーズの衛星は地球観測(リモート・センシング)を目的とした衛星で、科学的な試験や資源探査、農作物の管理といった用途で活用されているとされる。
しかし、多くの専門家は、軍事目的の偵察衛星として使用されているのではと予測している。
遥感と名のつく衛星には、電子光学センサーを搭載するものと、合成開口レーダー(SAR)を搭載するもの、そして3機同時に打ち上げられ、編隊で飛行して艦艇から出る電波を傍受するものの、大きく3種類があるとされている。
今回打ち上げられた遥感二十八号は、電子工学センサーを積んだ衛星であると見られている。
●電子光学センサー
電子光学センサーとは高性能なディジタル・カメラのようなもので、軌道上から地表を写真撮影することを目的としている。
電子光学センサーを積んでいると思われる遥感衛星は、高度500km、650km、そして1200kmと、大きく3種類の軌道に投入されていることがわかっている。
このうち500kmと650kmに投入されている衛星は、狭い範囲ながら、高い分解能で観測することを目的としていると思われる。一方、1200kmというのは、地球観測衛星にしては比較的高い高度ではあるが、おそらく低い分解能ながら、広い範囲を観測することを目的にしているためと思われる。この3種類の軌道に衛星を多数配備することで、地表の細かい様子から広い範囲の様子まで、まんべんなく観測する意図があると考えられる。
高度500kmの軌道にはこれまで、遥感五号(2008年打ち上げ)、遥感十二号(2011年)、遥感二十一号(2014年)が打ち上げられている。
2012年に打ち上げられた遥感十四号も高度500km付近の軌道に投入されているが、公開されている想像図を見る限り、光学センサーを搭載していることはほぼ間違いないものの、遥感衛星五号らとは異なる外見をしており、より先進的な機器を積んだ試験機であると思われる。今回打ち上げられた二十八号はこの十四号の後継機ではないかと考えられている。
また2014年には、こちらもあくまで想像図ではあるものの、遥感五号シリーズや遥感十四号とも異なる形状をした遥感衛星二十六号が、やはり500kmの軌道に打ち上げられている。
高度650kmの軌道には遥感二号(2007年)、遥感四号(2008年)、遥感七号(2009年)、遥感十一号(2010年)、遥感二十四号(2014年)が打ち上げられている。
1200kmの軌道には遥感八号(2009年)、遥感十五号(2012年)、遥感十九号(2013年)、遥感二十二号(2014年)、遥感二十七号(2015年)が打ち上げられている。
Image Credit: 中央政府门户网站
Source: gov.cn