今から2年前に群馬県のアマチュア天文家・小嶋正さんが発見した恒星の増光現象(天体の明るさが増す現象)から、地球の20倍の重さを持つ系外惑星が見つかったとする研究成果が発表されました。

■増光は恒星と系外惑星がもたらした「重力マイクロレンズ」現象

恒星「Kojima-1L」とその周囲を公転する系外惑星「Kojima-1Lb」のイメージ図(右下)。背景は重力マイクロレンズによって集められた光が太陽系に届く様子を描いた模式図(Credit: 東京大学)

2017年11月1日、小嶋さんはおうし座の方向に普段よりも明るくなった恒星を発見。国立天文台をはじめとした国内外の天体望遠鏡や海外の研究者・アマチュア天文家らなどによって、この恒星に対する追加観測が実施されました。

その結果、地球からおよそ2600光年離れた恒星(光源星)の手前を別の恒星(太陽のおよそ0.6倍の質量)が横切ったことで、光源星の光が集められて明るく見える「重力マイクロレンズ」現象が生じたものと確認されました。重力マイクロレンズとは、恒星などの重力によって光の進む向きが曲げられることで、その背後にある光源星の明るさが増したように観測される現象です。

さらに、その明るさの変化を詳細に分析したところ、横切った恒星には系外惑星が周回していることも判明しました。研究チームが「Kojima-1Lb」と呼ぶ系外惑星の質量は地球のおよそ20倍、海王星よりも一回り大きいことが明らかになっています。

■雪線付近を公転する系外惑星だった

今回見つかった系外惑星Kojima-1Lbは、主星(横切った恒星「Kojima-1L」)からおよそ1天文単位離れた場所を公転していることもわかりました。実はこの距離が重要な意味を持っています。

恒星の周囲には、水が凝結して氷になるかどうかの境界を意味する「雪線(snow line)」と呼ばれる距離があります。誕生したばかりの恒星を取り囲む原始惑星系円盤の雪線付近では、塵に加えて氷も存在することから固体物質が集まりやすく、それだけ惑星が形成されやすいと考えられています。

しかし、雪線は恒星からある程度離れたところにあります。現在おもに利用されている観測手法では恒星に近い系外惑星ほど見つかりやすく、雪線付近の系外惑星を見つけるのは難しいという制約がありました。

ところが系外惑星Kojima-1Lbは、主星が誕生したばかりの頃の雪線付近を公転しています。偶然とはいえ雪線に海王星サイズの系外惑星が発見されたという事実から、研究チームは、他の恒星の雪線付近にも同じように惑星が形成されている可能性が示唆されるとしています。

■重力マイクロレンズで見つかった系外惑星では一番近い

また、Kojima-1Lbは、重力マイクロレンズによって発見された系外惑星としてはこれまでで最も近い(地球からおよそ1600光年先)系外惑星でもあります。

重力マイクロレンズ現象は確率的に恒星が多く存在する場所で起こりやすいことから、従来は天の川銀河の中心方向が重点的に捜索されてきました。ただ、この手法で見つかった系外惑星までの距離は1万光年以上と遠く、詳細な観測を実施することが困難でした。

いっぽう、Kojima-1Lbは距離が近いことから、主星の特徴や系外惑星の軌道などを詳細に調べることが可能です。研究チームは今後、雪線付近の系外惑星をより多く見つけるべく、東京大学木曽観測所の105cmシュミット望遠鏡に取り付けられた超広視野CMOSカメラ「Tomo-e Gozen(トモエゴゼン)」などを使い、重力マイクロレンズ現象を全天で捜索する予定です。

NASAの「ボイジャー2号」が撮影した海王星。系外惑星Kojima-1Lbは海王星よりも一回り大きい(Credit: NASA/JPL-Caltech)

 

Image: 東京大学
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2019/6605/
文/松村武宏

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