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プラットフォームの落下にともない損傷した主鏡の一部。全米科学財団(NSF)のプレスリリースより(Credit: UCF)
プラットフォームの落下にともない損傷した主鏡の一部。全米科学財団(NSF)のプレスリリースより(Credit: UCF)

全米科学財団(NSF)は現地時間12月1日、廃止と解体の方針が示されていたプエルトリコのアレシボ天文台にある直径305mの電波望遠鏡について、主鏡の上137mの空中にケーブルで吊り下げられていた重さ約900トンのプラットフォームが落下し、望遠鏡が崩壊したことを明らかにしました。

受信機等が設置されていたプラットフォームが落下したのは大西洋標準時12月1日7時55分頃(日本時間では同日20時55分頃)で、プラットフォームの下にあった主鏡をはじめ、ケーブルを介してプラットフォームを支えていた3本のタワーすべての上部や、天文台の学習センターに被害が生じたとされています。

アレシボ天文台の電波望遠鏡は2020年8月10日にプラットフォームを支える補助ケーブルの1本が断線し、主鏡の一部が約30mに渡り損傷する事故が発生。当初は他のケーブルにかかる負荷が許容範囲内と判断され、復旧作業に向けた準備が進められていました。

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しかし、同年11月6日には断線した補助ケーブルと同じタワーに接続されていたメインケーブルの1本が最小破断強度の60パーセントの負荷で断線。想定以上にケーブルが弱まっていると考えられることから、安全性を考慮して望遠鏡を廃止し、解体する方針であることが11月19日に示されたばかりでした

解体の方針を示した際にNSFは望遠鏡が崩壊する可能性にも言及しており、完全に予想外の事態というわけではなかったものの、コントロールされた解体を待たず崩壊に至ったのはやはり衝撃的です。11月6日以降は望遠鏡周辺への不許可の立ち入りが制限されており、NSFによるとプラットフォームの落下による負傷者は報告されていないとのことです。

なお、電波望遠鏡の廃止後もアレシボ天文台そのものは存続し、12m電波望遠鏡や上層大気の観測を行うLIDARの運用などが継続される予定です。

プラットフォーム落下前の2020年11月に撮影されたアレシボ天文台の305m電波望遠鏡。主鏡の損傷は8月に発生した補助ケーブルの断線によるもの(Credit: University of Central Florida)

 

関連:アレシボ天文台の巨大な電波望遠鏡、ケーブル損傷後の復旧を断念し解体へ

Image Credit: UCF
Source: NSF
文/松村武宏

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