渦巻く“はと座”の渦巻銀河「NGC 2090」をウェッブ宇宙望遠鏡が観測

こちらは「はと座(鳩座)」の方向約4000万光年先の渦巻銀河「NGC 2090」です。まるで赤々と燃える炎が渦巻いているような姿をしていますが、実際に人の目でこのように見えるわけではありません。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の近赤外線カメラ(NIRCam)と中間赤外線観測装置(MIRI)で観測された渦巻銀河「NGC 2090」
【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の近赤外線カメラ(NIRCam)と中間赤外線観測装置(MIRI)で観測された渦巻銀河「NGC 2090」(Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, A. Leroy)】

星形成活動が活発な近傍銀河のひとつとしてジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測

この画像は「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope: JWST)」の「近赤外線カメラ(NIRCam)」と「中間赤外線観測装置(MIRI)」で取得したデータを使って作成されました。ウェッブ宇宙望遠鏡は赤外線の波長で主に観測を行うため、公開されている画像の色は取得時に使用されたフィルターに応じて着色されています。

欧州宇宙機関(ESA)によると、NIRCamは星から放出された赤外線の輝きを捉えており、特に中心部分で目立つ青色や緑色で着色されています。一方、MIRIは多環芳香族炭化水素(ベンゼン環を2つ以上持つ化合物の総称、PAH)から放出された赤外線を捉えていて、画像では赤色で着色されています(※NIRCamで観測された一部の波長もMIRIと同じ赤色で着色)

ウェッブ宇宙望遠鏡によるNGC 2090の観測は、天の川銀河の近くにある巨大で星形成活動が活発な銀河を調査する取り組みの一環として実施されました。対象となった銀河はウェッブ宇宙望遠鏡の観測機器で星形成活動を包括的に捉える上で、地球からの距離・規模・活動レベルが最適であり、観測データは今後何年にもわたって研究に役立てられるということです。

冒頭の画像は“ウェッブ宇宙望遠鏡の今月の画像”として、ESAから2024年11月27日付で公開されています。なお、NGC 2090は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」でも観測が行われており、ESAから“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”として2024年11月25日に画像が公開されたばかりです。2つの宇宙望遠鏡で観測されたNGC 2090の姿を是非見比べてみて下さい。

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が撮影した渦巻銀河「NGC 2090」
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が撮影した渦巻銀河「NGC 2090」(Credit: ESA/Hubble & NASA, D. Thilker)】

 

Source

  • ESA/Webb - Tracing spiral arms in infrared

文・編集/sorae編集部

#ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡 #渦巻銀河 #NGC2090