こちらは「おとめ座(乙女座)」の方向約1億光年先の渦巻銀河「IC 3225」です。渦巻腕(渦状腕)がある銀河円盤の星々が右上へ流れ出るように伸びていて、まるで左下へ向かって高速で移動しているような印象を受ける姿をしています。
銀河団ガスや銀河どうしの重力相互作用でゆがんだ形に?
IC 3225は1300個以上の銀河からなる「おとめ座銀河団」の一員です。欧州宇宙機関(ESA)によると、IC 3225は過去に銀河団内を満たす銀河団ガスから動圧(ラム圧)を受けて物質が剥ぎ取られたか、接近した別の銀河と重力を介した相互作用を経験したことで、このような形態になったと考えられています。
片側は圧縮されて星形成が活発になり、もう片側は引き伸ばされて形が崩れているIC 3225の姿は、銀河を動かし形さえも変えてしまう天文学的なスケールの力を思い出させてくれるとESAは解説しています。人間の感覚からすれば途方もなく長い時間をかけて変化していく銀河、その一瞬を私たちは見ているのだと思うと、あらゆる銀河の姿が貴重なものに思えてきませんか?
この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」で取得したデータをもとに作成されたもので、ESAから“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”として2024年10月21日付で公開されています。
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Source
- ESA/Hubble - Celestial cannonball
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
#ハッブル宇宙望遠鏡 #渦巻銀河 #IC 3225
最終更新日:2024/10/22