こちらは「おおぐま座(大熊座)」の方向約1200万光年先の銀河「M82(Messier 82)」の中心付近の様子です。M82は比較的小さなサイズの銀河ですが、爆発的な星形成活動が起きているスターバースト銀河の一つであり、天の川銀河と比較して10倍のペースで新たな星が生み出されているといいます。

【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で観測された銀河「M82」の中心付近。波長1.64μm(青)・2.5μm(緑)・3.35μm(赤)のデータを用いて作成(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, A. Bolatto (UMD))】
【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で観測された銀河「M82」の中心付近。波長1.64μm(青)・2.5μm(緑)・3.35μm(赤)のデータを用いて作成(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, A. Bolatto (UMD))】

この画像は「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope: JWST)」の「近赤外線カメラ(NIRCam)」で2024年1月5日に取得したデータをもとに作成されました。ウェッブ宇宙望遠鏡は人の目で捉えることができない赤外線の波長で主に観測を行うため、公開されている画像の色は取得時に使用されたフィルターに応じて着色されています。

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ウェッブ宇宙望遠鏡を運用する宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)によると、赤色は多環芳香族炭化水素(ベンゼン環を2つ以上持つ化合物の総称、PAH)から放出された赤外線に対応していて、銀河風としてM82から噴き出している物質の流れのこれまで知られていなかった微細な構造を示しています。PAHはとても小さい塵(ダスト)のような物質で、低温環境では存在できるものの、高温では破壊されてしまうといいます。ところが予想外なことに、ウェッブ宇宙望遠鏡の観測で明らかになった銀河風の微細な構造は高温の電離ガスの構造に似ていました。PAHはこのような環境では長期間存在できないはずであり、分子ガスの継続的な電離を通じて常に供給されている可能性が示唆されることから、研究者はさらなる調査が必要だと考えています。

【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で観測された銀河「M82」の中心付近。波長1.4μm(青)・1.64μm(緑)・2.12μm(赤)のデータを用いて作成(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, A. Bolatto (UMD))】
【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で観測された銀河「M82」の中心付近。波長1.4μm(青)・1.64μm(緑)・2.12μm(赤)のデータを用いて作成(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, A. Bolatto (UMD))】

一方、こちらもウェッブ宇宙望遠鏡のNIRCamで同じ日に観測されたM82の同じ領域ですが、画像の作成に使用されたデータは前掲の画像とは一部が異なるため(より短い波長の赤外線のデータを使用している)見え方も異なります。

STScIによると、赤色の小さな斑点は水素分子が若い星の放射によって照らし出されている領域を示しています。緑色の小さな斑点は鉄が集中して分布している領域を示しており、そのほとんどは超新星残骸です。また、白色の点は個々の星または星団です。高い分解能を有するウェッブ宇宙望遠鏡の観測を通じて星々や星団の数を把握することは、星形成のさまざまな段階を理解するための助けになるといいます。

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡で観測したM82(左)と、ウェッブ宇宙望遠鏡で観測したM82の中心付近(右)を比較した図。ハッブル宇宙望遠鏡の画像にはウェッブ宇宙望遠鏡の観測範囲が白色の四角で描かれている(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, A. Bolatto (UMD))】
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡で観測したM82(左)と、ウェッブ宇宙望遠鏡で観測したM82の中心付近(右)を比較した図。ハッブル宇宙望遠鏡の画像にはウェッブ宇宙望遠鏡の観測範囲が白色の四角で描かれている(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, A. Bolatto (UMD))】

ウェッブ宇宙望遠鏡で観測したM82の画像はSTScIや欧州宇宙機関(ESA)から2024年4月3日付で公開されています。

 

Source

  • STScI – NASA’s Webb Probes an Extreme Starburst Galaxy
  • ESA/Webb – Webb probes an extreme starburst galaxy

文・編集/sorae編集部

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