こちらは「くじら座(鯨座)」の方向約5500万光年先の渦巻銀河「NGC 941」です。渦巻銀河ではあるものの、明るい中央部分を取り囲む青い渦巻腕(渦状腕)の境界は明瞭ではなく、溶け合って1つの円盤を形成しているような姿をしています。

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【▲ ハッブル宇宙望遠鏡で撮影された渦巻銀河「NGC 941」(Credit: ESA/Hubble & NASA, C. Kilpatrick)】
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡で撮影された渦巻銀河「NGC 941」(Credit: ESA/Hubble & NASA, C. Kilpatrick)】

NGC 941では2005年2月6日に超新星「SN 2005ad」が見つかりました。発見者は日本のアマチュア天文家・板垣公一さんです。超新星爆発は太陽の8倍以上の質量を持つ大質量星や、白色矮星を含む連星で起こるとされる激しい爆発現象ですが、SN 2005adは大質量星が起こすタイプの「II型超新星」だったとみられています。II型超新星は進化した大質量星内部の核融合反応によって鉄のコア(中心核)が生成されるようになった頃、核融合のエネルギーで自重を支えることができなくなったコアが崩壊し、その反動によって恒星の外層が吹き飛ぶことで爆発に至る現象だと考えられています。

国立天文台(NAOJ)によると、超新星ハンターとして知られる板垣さんはSN 2005adを発見したのと同じ日に別の超新星「SN 2005ab」も発見しています。超新星のように短期間で急激な変化を示す突発天体現象(明るさが突発的に増す天体や現象)の発見には研究機関が運用する観測施設だけでなく板垣さんをはじめとした世界中のアマチュア天文家も貢献しており、地上の大型望遠鏡や宇宙望遠鏡による詳細な観測へとつながっています。

冒頭の画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope:HST)」の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」で取得したデータ(可視光線と近赤外線のフィルターを使用)をもとに作成され、“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”として欧州宇宙機関(ESA)から2023年11月6日付で公開されました。ハッブル宇宙望遠鏡による今回のNGC 941の観測は、II型超新星が発生する環境をより深く理解するための研究の一環として実施されたということです。

 

Source

  • ESA/Hubble – When amateur astronomers point the way
  • 国立天文台 – No.081: 板垣さん、こんどはくじら座に超新星を発見(国立天文台アストロ・トピックス)

文/sorae編集部

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