こちらは「きょしちょう座」(巨嘴鳥座)の方向約5億光年先の相互作用銀河「Arp-Madore 2339-661(AM 2339-661)」です。相互作用銀河とは、すれ違ったり衝突したりすることで重力の影響を及ぼし合っている複数の銀河を指す言葉です。相互作用銀河のなかには潮汐力によって形が大きくゆがんだり、渦巻腕(渦状腕)が長い尾のように伸びていたりするものもあります。

【▲ 相互作用銀河「Arp-Madore 2339-661(AM 2339-661)」。銀河の名前は左上が「NGC 7734」、右下が「NGC 7733」(Credit: ESA/Hubble & NASA, J. Dalcanton, Dark Energy Survey/DOE/FNAL/NOIRLab/NSF/AURA, Acknowledgement: L. Shatz)】
【▲ 相互作用銀河「Arp-Madore 2339-661(AM 2339-661)」。銀河の名前は左上が「NGC 7734」、右下が「NGC 7733」(Credit: ESA/Hubble & NASA, J. Dalcanton, Dark Energy Survey/DOE/FNAL/NOIRLab/NSF/AURA, Acknowledgement: L. Shatz)】

画像に向かって左上の渦巻銀河は「NGC 7734」、右下の渦巻銀河は「NGC 7733」と個別に名付けられています。どちらも棒状構造を持つ明るい中心部分を青い渦巻腕がリング状に取り囲んでいて、NGC 7734では2重のリングが形成されています。ちなみに相互作用銀河としての名前に含まれる「Arp-Madore」は、天文学者のHalton ArpとBarry Madoreがまとめた天体カタログ(※)に記載されていることを示しています。

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※…"A Catalogue of Southern Peculiar Galaxies and Associations"(南天の特異銀河および関連天体カタログ、1987年出版)

欧州宇宙機関(ESA)によると(遠方の無数の銀河は別として)ここにはもう1つの銀河が隠れている可能性があるようです。右下のNGC 7733の渦巻腕が作り出したリング状構造をよく見ると、銀河の中心から1時の方向に、腕とは異なる色合いをした結び目のような構造があります。これはNGC 7733の一部ではなく独立した銀河が写っている可能性が高いと考えられていて、「NGC 7733N」と呼ばれています。

この画像の作成には「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope:HST)」の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」で取得されたデータが用いられています。ハッブル宇宙望遠鏡によるAM 2339-661の観測は、「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope:JWST)」やハッブル宇宙望遠鏡自身による将来の詳細な観測の対象になり得る銀河を探す取り組みの一環として2021年10月に実施されたということです。

また、画像の作成にはハッブル宇宙望遠鏡のACSだけでなく、セロ・トロロ汎米天文台のブランコ4m望遠鏡に設置されている「ダークエネルギーカメラ(Dark Energy Camera:DECam)」による光学観測データも使用されています。DECamはその名が示すように暗黒エネルギー(ダークエネルギー)の研究を主な目的として開発された観測装置で、当初の目的である暗黒エネルギー研究のための観測は2013年から2019年にかけて実施されました。

冒頭の画像は“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”として、ESAから2023年10月23日付で公開されています。

 

Source

文/sorae編集部

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