こちらは「ちょうこくしつ座」(彫刻室座)の方向約4億光年先のレンズ状銀河「NGC 612」です。明るく輝く中心部分を塵と低温の水素ガスでできた暗い雲の連なりが取り囲んでいる様子を、私たちはNGC 612の横方向から観測しています。

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡で撮影されたレンズ状銀河「NGC 612」(Credit: NASA's Hubble Space Telescope, ESA, A. Barth (University of California - Irvine), and B. Boizelle (Brigham Young University) ; Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America))】
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡で撮影されたレンズ状銀河「NGC 612」(Credit: NASA’s Hubble Space Telescope, ESA, A. Barth (University of California – Irvine), and B. Boizelle (Brigham Young University) ; Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America))】

レンズ状銀河は渦巻銀河と楕円銀河の中間にあたる形態の銀河です。渦巻銀河と同じように中央部分の膨らみや円盤構造を持つものの、渦巻銀河の特徴である渦巻腕(渦状腕)は持たないとされています。一般的なレンズ状銀河には楕円銀河と同じように古い星が多く、星形成活動もほとんどみられないとされていますが、アメリカ航空宇宙局(NASA)によればNGC 612の星は例外的に若く、観測されている星々の年齢は4000万年~1億年という若さだといいます。

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この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope:HST)」で取得したデータ(可視光線と近赤外線のフィルターを使用)をもとに作成されています。NASAによると、NGC 612の中心部には狭い領域から強い電磁波を放射する活動銀河核(AGN)があることが知られており、NGC 612は活動銀河の一種であるセイファート銀河(セイファート2型)に分類されています。

活動銀河核の原動力は超大質量ブラックホール(超巨大ブラックホール)だと考えられています。周回しながら落下していくガスで形成された降着円盤と呼ばれるリング状構造が超大質量ブラックホールの周囲にある場合、ガスが落下する過程で解放されたエネルギーによって降着円盤が高温になり、そこから様々な波長の電磁波が放射されることで活動銀河核として観測されていると考えられています。

また、NGC 612はレンズ状銀河では5つしか知られていない電波銀河(強い電波を出している銀河)の1つでもあるといい、過去に別の渦巻銀河と相互作用したことなどが電波放射の原因ではないかと推定されています。研究者はNGC 612の画像を取得することで、この銀河が強い電波を出している理由をより深く理解したいと考えているということです。

冒頭の画像はNASAから2023年10月2日付で公開されています。

 

Source

  • NASA – Hubble Records Rare Radio Galaxy

文/sorae編集部

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