南天で輝く渦巻銀河「IC 5332」 ハッブル宇宙望遠鏡で撮影
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡で撮影された渦巻銀河「IC 5332」(Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Chandar, J. Lee and the PHANGS-HST team)】

こちらは「ちょうこくしつ座」(彫刻室座)の方向約3000万光年先の渦巻銀河「IC 5332」です。欧州宇宙機関(ESA)によれば、IC 5332は渦巻腕(渦状腕)に囲まれた中心部分に棒状構造がある「棒渦巻銀河」と、棒状構造がない「渦巻銀河」の中間的な性質を持つ銀河(Intermediate Spiral Galaxy、中間渦巻銀河とも)に分類されています。

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡で撮影された渦巻銀河「IC 5332」(Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Chandar, J. Lee and the PHANGS-HST team)】
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡で撮影された渦巻銀河「IC 5332」(Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Chandar, J. Lee and the PHANGS-HST team)】

IC 5332は地球に対して正面を向けた位置関係にある、いわゆる「フェイスオン(face-on)銀河」のひとつ。画像では明るい中心部から広がっていく青い渦巻腕(渦状腕)の様子がよくわかります。渦巻腕のあちこちに見える赤い部分は、若い大質量星から放射された紫外線によって電離した水素ガスが光を放っているHII(エイチツー)領域です。HII領域はガスと塵を材料に星が形成される星形成領域でもあり、新たな星が誕生する現場であることから“星のゆりかご”と呼ばれることもあります。

この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope:HST)」の「広視野カメラ3(WFC3)」で取得したデータ(近紫外線・可視光線・近赤外線のフィルターを使用)をもとに作成されています。ハッブル宇宙望遠鏡による今回のIC 5332の観測は、若い星の材料である低温ガスと銀河の関係の調査を目的とした観測プロジェクト「PHANGS」(Physics at High Angular resolution in Nearby GalaxieS)の一環として2020年6月に実施されました。

冒頭の画像は“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”としてESAから2023年10月16日付で公開されています。

 

Source

  • ESA/Hubble - ‘S’ is for ‘Spiral’, ‘AB’ is for … ‘Weakly Barred’

文/sorae編集部