こちらは「ペルセウス座」の方向約1000光年先のハービッグ・ハロー天体「Herbig-Haro 211(HH 211)」です。ハービッグ・ハロー天体とは若い星の周囲に見られる明るい星雲状の天体のことで、若い星から恒星風やジェットとして流れ出たガスが周囲のガスや塵の雲に衝突し、励起された物質から光が発せられていると考えられています。

【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で観測されたハービッグ・ハロー天体「HH 211」(Credit: ESA/Webb, NASA, CSA, T. Ray (Dublin Institute for Advanced Studies))】
【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で観測されたハービッグ・ハロー天体「HH 211」(Credit: ESA/Webb, NASA, CSA, T. Ray (Dublin Institute for Advanced Studies))】

この画像は「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope:JWST)」の「近赤外線カメラ(NIRCam)」で2022年8月28日に取得したデータをもとに作成されました。ウェッブ宇宙望遠鏡は人の目で捉えることができない赤外線の波長で主に観測を行うため、公開されている画像の色は取得時に使用されたフィルターに応じて着色されています(※)

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※…この画像では1.62μmと1.64μmを黄色、2.1μmと3.23μmを青、3.35μmをシアン、4.6μmを緑、4.66μmをオレンジ、4.7μmを赤で着色しています。

ジェットは若い星から双方向に噴出するため、この画像では中央から右上と左下に向かって、バウショック(弧状の衝撃波面)を連ねた一対のハービッグ・ハロー天体が形成されています。HH 211でジェットを噴出させているのは誕生から1万年以内とみられる若い原始星で、質量が今の8パーセント程度しかなかった成長途中の頃の太陽に似た天体だとされています。

ウェッブ宇宙望遠鏡を運用する宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)によると、この観測では過去に取得された画像と比べて5~10倍も空間解像度が高いHH 211の画像を得ることができました。ジェットは小刻みに揺れるように放出されていることから、画像中央の塵が豊富な雲の奥に隠されている原始星は連星の可能性があるようです。

ダブリン高等研究所(DIAS)のTom Ray教授を筆頭とする研究チームがウェッブ宇宙望遠鏡の観測で得られたHH 211のデータを分析した結果、この若い原始星が放出させているジェットは従来の予想に反してほぼ分子だけで構成されていて、さらに進化した段階の原始星が放出させるジェットと比べてゆっくり移動しているように見えることがわかったといいます。Rayさんによると、より単純な原子やイオンを加えることなくジェットが形成される仕組みは、今のところ謎だということです。

冒頭の画像はSTScIをはじめ、アメリカ航空宇宙局(NASA)、欧州宇宙機関(ESA)から2023年9月14日付で公開されています。

 

Source

  • Image Credit: ESA/Webb, NASA, CSA, T. Ray (Dublin Institute for Advanced Studies)
  • NASA - NASA’s Webb Snaps Supersonic Outflow of Young Star
  • ESA/Webb - Webb snaps supersonic outflow of young star
  • STScI - NASA's Webb Snaps Supersonic Outflow of Young Star
  • DIAS - A star is born: Irish scientists capture a stellar birth using the James Webb Space Telescope
  • Ray et al. - Outflows from the Youngest Stars are Mostly Molecular (Nature)

文/sorae編集部

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