こちらに写っているのは南天の「がか座」(画架座)の一角。画像の横方向の範囲は満月の視直径の10分の1弱に相当します(視野は2.61×2.72分角)。視野全体に散らばる天体のほとんどは、それぞれが何百億、何千億もの星々でできている銀河です。
画像の中央には約26億光年先の銀河団が写っています。欧州宇宙機関(ESA)によると、この銀河団は「2MASX J05101744-4519179」と呼ばれています。銀河団は数百~数千の銀河が集まった巨大な天体です。
この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope:HST)」の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」と「広視野カメラ3(WFC3)」で取得したデータ(可視光線と赤外線のフィルターを使用)をもとに作成されました。
ESAによると、ハッブル宇宙望遠鏡による銀河団の観測は未知の暗黒物質(ダークマター)と通常の物質の相互作用をより良く理解することにつながります。また、観測によって重力レンズ効果(遠方の天体の像が歪んだり拡大されて見えたりする現象)を受けている天体の位置がわかれば、ハッブル宇宙望遠鏡と「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope:JWST)」による将来の観測も可能になるということです。
冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の“今週の画像”として、ESAから2023年8月14日付で公開されています。
※記事中の距離は天体から発した光が地球で観測されるまでに移動した距離を示す「光路距離」(光行距離)で表記しています。
Source
- Image Credit: ESA/Hubble & NASA, H. Ebeling
- ESA/Hubble - A clear view of a galaxy cluster
文/sorae編集部