とても暗いペガスス座の不規則銀河 II型超新星や珍しい棒状構造も
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡で撮影された不規則銀河「NGC 7292」(Credit: ESA/Hubble & NASA, C. Kilpatrick)】

こちらは「ペガスス座」の方向約4400万光年先の「NGC 7292」です。とは、星々が集まった中心部や渦巻腕(渦状腕)、回転対称の円盤部といった明確な構造を持たない銀河のこと。NGC 7292の場合、中心部には珍しいことに棒のような棒状構造が存在しています。

欧州宇宙機関(ESA)によれば、NGC 7292はその霞んだ姿に加えて明るさも非常に暗いことから、背景の夜空と区別するのが難しい低表面輝度銀河(Low Surface Brightness Galaxy)にも分類されています。

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡で撮影された不規則銀河「NGC 7292」(Credit: ESA/Hubble & NASA, C. Kilpatrick)】
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡で撮影された不規則銀河「NGC 7292」(Credit: ESA/Hubble & NASA, C. Kilpatrick)】

NGC 7292では1964年6月にII型「SN 1964H」が見つかりました。爆発はの8倍以上の質量を持つ大質量星や、を含むで起こるとされる激しい爆発現象です。II型は大質量星が起こすタイプの爆発で、進化した恒星内部の核融合反応で鉄のコア(核)が生成されるようになった頃、核融合のエネルギーで自重を支えることができなくなったコアが崩壊し、その反動によって恒星の外層が吹き飛ぶことで爆発に至ると考えられています。

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」で2022年11月に取得したデータをもとに作成されました。ESAによると、ハッブル宇宙望遠鏡によるNGC 7292の観測はII型超新星の余波を調査する研究の一環として実施されており、超新星が起こった場所の周辺に存在する星々の年齢や質量といった情報を得ることで、超新星爆発を起こした星の性質や、爆発から生き延びた星といった、II型超新星の多様性が明らかになると期待されています。

冒頭の画像は“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”として、ESAから2023年6月12日付で公開されています。

 

Source

  • Image Credit: ESA/Hubble & NASA, C. Kilpatrick
  • ESA/Hubble - A dishevelled irregular galaxy

文/sorae編集部