こちらは「おおぐま座」の方向約2100万光年先の渦巻銀河「M101(Messier 101)」です。ハワイのマウナケア山にあるジェミニ天文台の「ジェミニ北望遠鏡」で撮影されました。画像に写っているのは直径約17万光年とされるM101の半分ほどですが、明るい中心部から広がる渦巻腕(渦状腕)や、渦巻腕を彩る若く高温の青い星々、新たな星を生み出しているピンク色の星形成領域などが捉えられています。

【▲ 渦巻銀河「M101」で輝く超新星「SN 2023ixf」(左)。ジェミニ天文台の「ジェミニ北望遠鏡」で撮影(Credit: International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA)】
【▲ 渦巻銀河「M101」で輝く超新星「SN 2023ixf」(左)。ジェミニ天文台の「ジェミニ北望遠鏡」で撮影(Credit: International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA)】

画像の左側に伸びている渦巻腕をよく見ると、ひときわ明るく輝く青白い光点が写っています。これは超新星「SN 2023ixf」の輝きです。SN 2023ixfはこれまでにも数多くの超新星を発見してきた山形県のアマチュア天文家・板垣公一さんによって発見されました。

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日本時間2023年5月20日2時27分に板垣さんが発見して以来、SN 2023ixfは世界中の天文学者やアマチュア天文家から注目を集めており、ジェミニ北望遠鏡をはじめ、さまざまな観測手段で追跡観測が行われています。SN 2023ixfが注目されているのは、地球から比較的近い場所で起きたことが理由の1つです。画像を公開した米国科学財団(NSF)の国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab)によると、SN 2023ixfは過去5年間に発見されたものとしては最も近い超新星となりました。

これまでの観測で、SN 2023ixfは太陽の8倍以上の質量を持つ大質量星が起こす「II型超新星」であることが判明しています。II型超新星は、進化した大質量星内部の核融合反応で鉄のコア(核)が生成されるようになった頃、核融合のエネルギーで自重を支えることができなくなったコアが崩壊し、その反動によって恒星の外層が吹き飛ぶことで起こると考えられています。NOIRLabによれば、星の外核が中心へと陥没する時の速度は、実に2億5000万km/h(光速の約4分の1)。寿命100億年とされる太陽が生涯の間に放出するのと同程度のエネルギーが、II型超新星ではわずか10秒間で放出されるといいます。

また、ノースウェスタン大学のCharles Kilpatrickさんを筆頭とする研究チームによると、爆発前に「ハッブル宇宙望遠鏡」などで取得されたM101の観測データを分析したところ、SN 2023ixfが起きたのと同じ場所で赤色超巨星とみられる天体が見つかったといいます(※arXivで公開されているプレプリントより)。SN 2023ixfの観測を通して、大質量星の進化と終焉についての貴重な知見が得られると期待されています。

 

Source

  • Image Credit: International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA
  • NOIRLab - Gemini North Back On Sky With Dazzling Image of Supernova in the Pinwheel Galaxy
  • Kilpatrick et al. - SN2023ixf in Messier 101: A Variable Red Supergiant as the Progenitor Candidate to a Type II Supernova (arXiv)

文/sorae編集部

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