6月の空で見られる星座

山の緑が一層濃くなる6月、爽やかな風の中に時折蒸し暑さを感じるようになりました。日本の多くの地域が梅雨入りする時期なので、晴れた空を見られる日も少なくなるかもしれません。

【▲2023年6月中旬 21時頃の東京の星空(Credit: 国立天文台)】

星空が貴重なこの時期、南の空高くを見上げると、オレンジ色の1等星が目に入ります。この星はうしかい座のアークトゥルスです。うしかい座のモデルは諸説ありますが、一説にはギリシャ神話の天を担ぐ巨人の神アトラスだと言われています。6月のうしかい座は天頂付近に上るので、本当に天を支えているように見えます。

アークトゥルスには「五月雨星(さみだれぼし)」という和名があります。五月雨とは梅雨のことであり、梅雨時に空高い場所に上ってくることからそう名付けられたと考えられています。また、麦の収穫時期に上るため、「麦星」と呼ばれることもあったようです。

アークトゥルスから空の低い方へと目を移すと、青白い1等星があります。この星はおとめ座のスピカです。スピカとは「麦の穂先」という意味で、おとめ座の持つ麦で輝いています。アークトゥルスが日本の麦星なら、スピカは西洋の麦星といったところです。

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おとめ座のモデルも諸説ありますが、豊穣の女神デーメテールと正義の女神アストレイアが統合した姿だといわれることが多いようです。おとめ座が携えている麦の穂は豊穣、羽ペンは正義を表しているといわれています。

おとめ座の東側にはてんびん座があります。3つの3等星が形作る「く」の字を逆さまにしたような形を目印に、てんびん座の形をたどることができるでしょう。

星座が誕生した頃、秋分の日の太陽はてんびん座の位置にありました。秋分の日は昼夜の時間がほぼ同じになることから、「昼夜を等しく分ける」という意味合いを込めて、てんびん座が描かれたと考えられています。ちなみに、おとめ座のモデルになったとも言われるアストレイアは正義の象徴であるてんびんを手にしており、てんびん座と結び付けて語られることもあります。

現代の日本では、てんびん座は梅雨時の夜空に上ります。その姿はまるで春から夏へと移るタイミングをはかっているようです。晴れと雨を繰り返しつつ、季節はてんびんのように揺れ動きながら、少しずつ夏へと移り変わっていきます。

2023年6月の天文情報

2023年6月の星空の主役は金星です。「宵の明星」として西の空に輝く金星は、他の星たちを導いているかのように見えます。また、夏至の頃には金星を含む明るい天体が並ぶ様子も楽しめます。

●金星が東方最大離角

6月4日には金星が東方最大離角を迎えました。最大離角とは内惑星(水星・金星)の地球からの見かけの位置が太陽から最も離れる時点のことです。太陽から離れて見つけやすくなる、いわゆる「見ごろ」の時期でもあります。東方最大離角時の金星は「宵の明星」と呼ばれ親しまれています。

●夏至

2023年6月21日は夏至です。夏至とは太陽黄経(※)が90度になる瞬間を含む日のことで、北半球では太陽が最も高く昇り、昼の時間が最も長くなります。

昼が最も長くなることから、「夏至は日の出が一番早く、日の入りが一番遅い」と考えている人もいるかもしれませんが、実は違います。日の出が最も早いのは夏至の約10日前、日の入りが最も遅くなるのは約10日後です。

今年の夏至は、日没を過ぎた頃に西の空を見ると、月(月齢3.3)、金星(マイナス4.6等級)、火星(1.7等級)、そしてしし座のレグルス(1.4等級)が連なっています。さしずめ夏至の夜空のパレードといったところでしょうか。火星とレグルスはやや暗いため、空の澄んだ場所で観察してみてください。

※…太陽が天球上を通る経路(黄道)の位置を数値化したもの。春分点での太陽の位置を0度とし、夏至は90度、秋分は180度、冬至は270度となる。

 

Source

  • Image Credit: 国立天文台, sorae編集部
  • 国立天文台 – 東京の星空・カレンダー・惑星(2023年6月)
  • 国立天文台 – 暦計算室

文/sorae編集部

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