【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で観測されたウォルフ・ライエ星「WR 124」(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, Webb ERO Production Team)】

こちらは「や座」の方向約1万5000光年先にあるウォルフ・ライエ星「WR 124」の姿です。

「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡の「近赤外線カメラ(NIRCam)」と「中間赤外線装置(MIRI)」を使って取得したデータ(赤外線のフィルター10種類)をもとに作成されました(※)。画像の中央で輝くWR 124の周囲には、この星から放出された大量のガスや塵(ダスト)でできたハローが広がっています。

ウォルフ・ライエ星は大質量の恒星であるO(オー)型星が進化した姿で、約1000万年以下とされる短い生涯を終えつつあります。星の外層から大量の水素が恒星風として放出されて失われたことで、ウォルフ・ライエ星では高温の内層がむき出しになっていると考えられています。

ウェッブ宇宙望遠鏡を運用する宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)によると、WR 124の質量は太陽の30倍で、これまでに太陽10個分の質量に相当するガスや塵を放出したとみられています。ウォルフ・ライエ星はいずれ超新星爆発を起こして恒星としての生涯を終えますが、爆発前に放出されたガスや塵、それに爆発時に生成された重元素は、やがて形成される新たな恒星や惑星の材料になると考えられています。

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関連:巨大な星のペアが描いた17本のリング。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影(2022年10月19日)

STScIによれば、WR 124が置かれているような環境で生成される塵を調査するための情報は限られていたものの、ウェッブ宇宙望遠鏡の登場によって実際のデータで調査を行うことができるようになりました。

また、この宇宙には理論上予想される量よりも多くの塵が存在しているといいますが、ウォルフ・ライエ星から放出された塵の粒子の大きさや量は超新星爆発を乗り切るのに十分なのか、そして宇宙全体の塵の量にどれほど寄与しているのかを調べることもできるようになったといいます。

約100億年とされる太陽の寿命と比べて大質量星の寿命は短く、ウォルフ・ライエ星の段階はそのさらに一部でしかありません。ウェッブ宇宙望遠鏡によるウォルフ・ライエ星の詳細な観測は天文学者にとって大きな価値があり、星間塵(宇宙塵)にまつわる長年の謎を明らかにするだろうと期待されています。

冒頭の画像はSTScIをはじめ、アメリカ航空宇宙局(NASA)、欧州宇宙機関(ESA)から2023年3月14日付で公開されています。

※…ウェッブ宇宙望遠鏡は人の目で捉えることができない赤外線の波長で主に観測を行うため、公開されている画像の色はデータの取得時に使用されたフィルターに応じて着色したものとなります。この画像ではNIRCamの900nmと1.5μmおよびMIRIの7.7μmに青、NIRCamの2.1μmと3.35μmおよびMIRIの11μmに緑、NIRCamの4.44μmと4.7μmおよびMIRIの12μmと18μmに赤が割り当てられています。

 

【追記:2023年3月26日22時00分】当初、WR 124を「いて座」にあると記述していましたが、正しくは「や座」の誤りです。訂正の上お詫び申し上げます。

 

Source

  • Image Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, Webb ERO Production Team
  • STScI - NASA’s Webb Telescope Captures Rarely Seen Prelude to Supernova
  • NASA - NASA’s Webb Telescope Captures Rarely Seen Prelude to Supernova
  • ESA/Webb - Webb captures rarely seen prelude to a supernova

文/sorae編集部

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