【▲(Credit: sorae編集部)】

冬の終わりを感じる2023年の2月下旬。南西の空を見上げると、赤っぽい星が2つ、ボタンのように並んでいます。この2つの星は似ているように見えますが、実は全く別の種類の星です。

空の高い方(北側)の星は火星です。火星は惑星なので恒星よりも地球に近く、「面」で光っています。そのため風の影響を受けにくく、あまり瞬かずにジーッと光っているように見えます。

火星は地球と同じ岩石質の惑星で、地面には酸化鉄(赤さび)が含まれています。火星が赤く見えるのは、火星の地面の色なのです。2023年2月26日現在、地球から火星までの距離は約1.7億km。そんなに遠い惑星の地面の色がわかるなんて、なんだか不思議ですね。

火星は楕円軌道を描きながら太陽を公転しているため、地球との距離が大きく変わります。最近では2022年12月1日に最接近を迎えていて、地球から8145万kmまで近づくとともに、明るさは-1.9等級に達しましたが、今はだんだん遠ざかっているところです。

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とはいえ、火星は2023年2月26日の時点でも0.3等級程度とまだまだ明るく、不思議な赤い色も相まって星空で良く目立ちます。

【▲ 2016年~2035年 最接近時の地球と火星(Credit: 国立天文台)】

空の低い方(南側)の星は”おうし座の”一等星「アルデバラン」です。恒星は惑星よりはるか遠くにあるため「点」で光っており、特に風の強い日に激しく瞬くのが特徴です。

アルデバランの明るさは0.9等級程度なので、そばで輝く現在の火星と良い勝負。今なら並んで輝く赤い星たちの競演を楽しむことができます。

アルデバランが赤い色をしているのは、温度が低いためです。星座を形作る星(恒星)は核融合反応を起こして輝いており、色は表面の温度が高いほど青く、低いほど赤くなります。アルデバランの表面温度は摂氏約4000度で、分類上では橙(オレンジ)とされます。

【▲ 火星と冬の星空(Credit: 国立天文台)】

冬の星空には、色とりどりの一等星が輝いています。アルデバランから時計回りに、オリオン座の「ベテルギウス(赤)」と「リゲル(青白)」、おおいぬ座の「シリウス(白)」、こいぬ座の「プロキオン(黄白)」、ふたご座の「ポルックス(橙)」、ぎょしゃ座の「カペラ(黄)」です。

7つの一等星のうち、オリオン座のベテルギウス以外の星を線で結ぶと、大きな六角形を描くことができます。これは「冬のダイヤモンド」(冬の大六角形とも)と呼ばれています。

冬枯れの空に浮かぶダイヤモンドはとても華やかで、冬の寂しさを和らげてくれるかのようです。

【▲ 冬のダイヤモンドの解説図(Credit: イラストAC)】

2023年2月27日には月が上弦を迎え、2月28日の夕方から3月1日の未明にかけて火星に接近します。その後、月はダイヤモンドの間を東に進み、3月7日に満月となります。その時、月と並ぶのはしし座。春の星座の王者です。胸に一等星「レグルス」を輝かせたしし座が東の空に昇ってくる頃には、季節はもうすっかり春です。

 

Source

  • Image Credit: 国立天文台, イラストAC, sorae
  • 国立天文台 – 火星と冬の星空(2023年2月)
  • 国立天文台 – 火星が地球に最接近(2022年12月)

文/sorae編集部

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