ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で撮影された渦巻銀河「NGC 7469」

【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で撮影された渦巻銀河「NGC 7469」(Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, L. Armus, A. S. Evans)】

こちらは「ペガスス座」の方向約2億2000万光年先にある渦巻銀河「NGC 7469」です。NGC 7469は活動銀河の一種(セイファート1型)に分類されていて、その中心には狭い領域から強い電磁波を放射する「活動銀河核(AGN)」が存在しています。活動銀河核の原動力は、太陽の数百万倍以上もの質量がある超大質量ブラックホールだと考えられています。

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欧州宇宙機関(ESA)によると、NGC 7469は新たな星が爆発的に誕生するスターバースト(爆発的星形成)と活動銀河核の関係を調べる貴重な機会を与えてくれるといいます。その理由は、NGC 7469の活動銀河核が半径わずか1500光年ほどのリング状のスターバースト領域に囲まれているから。このような領域はスターバーストリング(Starburst Ring)と呼ばれています。

それゆえにNGC 7469の活動銀河核は最も研究されている活動銀河核の一つとなっているのですが、そのコンパクトな特質と大量のダスト(塵)が観測を難しくしていたといいます。しかし今、研究者たちは「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡という強力な観測手段を手に入れました。この画像はウェッブ宇宙望遠鏡の「近赤外線カメラ(NIRCam)」で取得したデータ(赤外線のフィルター4種類を使用)をもとに作成されています(※)

※…ウェッブ宇宙望遠鏡は人の目で捉えることができない赤外線の波長で主に観測を行うため、画像の色は取得時に使用されたフィルターに応じて着色・合成されています(1.5μmを青、2.0μmをシアン、3.35μmをオレンジ、4.44μmを赤で着色)。

ESAによると、天の川銀河の近傍にある高光度赤外線銀河(LIRG)の包括的な研究を行っているサーベイプロジェクト「GOALS」の研究者たちは、ウェッブ宇宙望遠鏡のNIRCamおよび「中間赤外線装置(MIRI)」と「近赤外線分光器(NIRSpec)」を使って、NGC 7469をこれまでになく詳細に観測することができました。GOALSによるNGC 7469の観測の結果、活動銀河核から数百光年以内の領域でダスト粒子が破壊されていることを示す直接的な証拠が得られたといいます。この証拠は、活動銀河核が周辺の星間物質に影響を及ぼしていることを証明するものだとされています。

ウェッブ宇宙望遠鏡の観測で得られたデータは分析が進められており、活動銀河核とスターバーストに隠されたさらなる秘密が明らかになると期待されています。なお、GOALSによるNGC 7469の観測は、相互作用銀河「IC 1623」や銀河のペア「II ZW 96」とともに、星形成・ブラックホールの成長・合体する高光度赤外線銀河の研究を目的とした観測の一環として実施されたということです。

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冒頭の画像は「ウェッブ宇宙望遠鏡の今月の一枚(Picture of the Month)」として、ESAから2022年12月21日付で公開されています。ちなみに、NGC 7469の中心から放射状に伸びている光は回折スパイク(diffraction spike)と呼ばれるもので、主鏡を構成する六角形の鏡セグメントや副鏡を支える支柱といった、ウェッブ宇宙望遠鏡の構造によって生じています。

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Source

  • Image Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, L. Armus, A. S. Evans
  • ESA/Webb - A Wreath of Star Formation in NGC 7469

文/sorae編集部

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