ESAのマーズ・エクスプレスが撮影したウルティミ・スコプリにあるクレーター

【▲ ESAのマーズ・エクスプレスが撮影したウルティミ・スコプリにあるクレーター(上が北の方角になるようにオリジナルの画像を回転させてあります)(Credit: ESA/DLR/FU Berlin)】

こちらは火星の南極域に広がるウルティミ・スコプリ(Ultimi Scopuli)と呼ばれる地域にある2つのクレーターとその周辺です。欧州宇宙機関(ESA)の火星探査機「マーズ・エクスプレス(Mars Express)」の「高解像度ステレオカメラ(HRSC)」を使って2022年5月19日に撮影されました。

撮影当時の火星は南半球の季節が春から夏に移り変わる時期だったため、南極を覆う氷は縮小しつつありました。クレーターの外輪山や2つのクレーターをつなぐ尾根では、氷がなくなって赤茶色の地面が見え始めています。クレーターの周囲では暗い色合いをした幾つもの砂丘が、霜の層を突き抜けるようにして顔を覗かせています。昇華した二酸化炭素が氷の層を破って噴出した時に生じた暗い色の斑点も点在している他に、画像の中央にはかすんだ雲も現れています。

ESAによると、砂丘は地球のヤルダン地形(※1)に似ていて、卓越風の風向に沿って鋭く切り立った尾根が形成されています。暗い色はかつての火山活動で噴出した物質に由来すると考えられている塵によるもので、強風で飛散しやすく、火星のいたるところでみられるといいます。

※1…岩の柔らかい部分が侵食作用を受けて削られ、固い部分が残されたことで生じる地形。中央アジアなどでみられる。

【▲ マーズ・エクスプレスが取得したデータをもとに南側のクレーターを見下ろすようなアングルで作成された画像(Credit: ESA/DLR/FU Berlin)】

【▲ マーズ・エクスプレスが取得したデータをもとに南側のクレーターを見下ろすようなアングルで作成された画像(Credit: ESA/DLR/FU Berlin)】

また、クレーターを拡大してみると、まるで木の年輪のような模様が浮かび上がっていることがわかります。これは水の氷と細かな塵が交互に積み重なってできた層状堆積物によるもので、クレーターをつなぐ尾根にも同じ模様がみられます。

ちなみに、火星は2022年12月26日に「新年」を迎えました。地球の外側を公転している火星の1年は地球の1.9倍近い約687日(約688ソル※2)なので、始まったばかりの火星の「今年」は2024年11月まで続くことになります。

※2…1ソル(Sol)=火星での1太陽日、約24時間40分。

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マーズ・エクスプレスが撮影したウルティミ・スコプリの画像は、ESAやドイツ航空宇宙センター(DLR)から2022年12月22日付で公開されています。

 

Source

  • Image Credit: ESA/DLR/FU Berlin
  • ESA - Christmas craterscape
  • DLR - Mar­tian win­ter won­der­land – swirling snow in Ul­ti­mi Scop­uli

文/sorae編集部

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