こちらは南天の「ろ座」(炉座)の方向約4億5000万光年先の渦巻銀河「ESO 415-19」です。
ESO 415-19は一見すると普通の渦巻銀河のようですが、まるで異様に伸びた渦巻腕(渦状腕)のような星の流れが画像の上下に向かって伸びています。欧州宇宙機関(ESA)によると、この構造は他の銀河との潮汐相互作用によって形成されたと考えられています。
この画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」を使って取得された画像(可視光線のフィルター1種類)と、チリのセロ・トロロ汎米天文台にあるブランコ4m望遠鏡の観測装置「ダークエネルギーカメラ(DECam)」を使って取得された画像(可視光線と近赤外線のフィルター合計3種類)をもとに作成されています。
ESAによると、ハッブル宇宙望遠鏡のACSによる観測は「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡や「アルマ望遠鏡(ALMA)」、それにハッブル宇宙望遠鏡自身による将来の詳細な観測の対象になり得る、興味深い天体のリストを作成する取り組みの一環として実施されました。また、DECamはダークエネルギー(暗黒エネルギー)の研究を主な目的として開発された観測装置で、2013年から2019年にかけてダークエネルギー研究のための観測が実施されています。
ちなみに「ろ座」といえば2004年に画像が公開された「ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド(HUDF)」がある領域ですが、ESAによれば、ESO 415-19はHUDFで捉えられた約1万個の銀河の1つだということです。冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として、ESAから2022年12月26日付で公開されています。
Source
- Image Credit: ESA/Hubble & NASA, J. Dalcanton, Dark Energy Survey/DOE/FNAL/DECam/CTIO/NOIRLab/NSF/AURA
- ESA/Hubble - Hubble Spies a Long-Armed Galaxy
文/松村武宏