apjac63b2f1_lr-1320x632(Credit:The Astrophysical Journal)

【▲左の画像はスローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)によって捉えられた「タフィー銀河」。右の画像の赤い丸はアルマ望遠鏡による新たな観測箇所(Credit:The Astrophysical Journal)】

銀河と銀河が衝突したときに、新たな星を生み出す星形成活動は促進されるのでしょうか、それとも抑制されるのでしょうか? 「ペガスス座」の方向約2億光年先にある「タフィー銀河(Taffy galaxies)」は、この疑問を解明するための格好の舞台となっているようです。

タフィー銀河の正体は、 相互作用する2つの銀河「UGC 12914」「UGC 12915」です。現在観測されている2つの銀河は、正面衝突してから2500万~3000万年が経っていると考えられています。正面衝突の結果、2つの銀河の間に広がるガスの乱流によって「橋」のような構造が形成されました。

カリフォルニア工科大学のフィリップ・アップルトン(Philip Appleton)教授らの研究チームは、この相互作用する銀河のペアを調べるために、チリの電波望遠鏡群「アルマ望遠鏡(ALMA)」による観測を実施しました。冒頭の画像の右側に赤い丸で示されているのが、今回新たにアルマ望遠鏡による観測が実施された部分です。

アルマ望遠鏡による一酸化炭素ガスの観測から、2つの銀河をつなぐ「橋」の中にあるフィラメント状(ひも状)や塊状の部分は、重力によって束縛されていない可能性が高いと考えられています。そのため、このような星が形成される可能性のある場所は外部からの圧力がなければ急速に散逸し、200万~500万年以内に消滅してしまう可能性があるとのこと。それにもかかわらず、孤立した領域では星形成が進んでいると言うことです。


つまり、2つの銀河にまたがる「タフィー橋」では、星形成をめぐって戦いが繰り広げられているというイメージでしょうか。

冒頭の画像は「The Astrophysical Journal」誌に掲載された論文を元にして、AAS Novaに「Featured ImageThe Battle for Star Formation at Taffy Bridge(注目の画像:タフィー橋での星形成の戦い)」として2022627日付けで紹介されました。

 

Source

  • Image Credit:The Astrophysical Journal
  • AAS Nova - Featured Image: The Battle for Star Formation at Taffy Bridge
  • The Astrophysical Journal - The CO Emission in the Taffy Galaxies (UGC 12914/15) at 60 pc Resolution. I. The Battle for Star Formation in the Turbulent Taffy Bridge

文/吉田哲郎