ヘビみたい? 火星探査車「キュリオシティ」が見つけた不思議な形の岩
【▲ 火星探査車「キュリオシティ」が撮影した細長い火星の岩(2022年5月15日撮影)(Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS)】
【▲ 火星探査車「キュリオシティ」が撮影した細長い火星の岩(2022年5月15日撮影)(Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS)】
【▲ 火星探査車「キュリオシティ」が撮影した細長い火星の岩(2022年5月15日撮影)(Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS)】

こちらは、アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査車「Curiosity(キュリオシティ)」のカメラ「Mastcam」を使って撮影された火星の岩です。画像の中央付近には、まるで立ち上がったヘビを思わせる不思議な形をした2本の岩が写っています。

NASAのジェット推進研究所(JPL)によると、この指のように細長い岩はもともと地中で作られた可能性があるようです。まず、地下にできた岩の割れ目に水が流れ込むと、水に運ばれた細かな鉱物が堆積することで、割れ目は徐々に埋められていきます。やがて水が失われ、大気にさらされた岩が風による侵食作用を受けて削られるようになると、比較的密度が高くて侵食されにくい堆積物の部分だけが残されます。砂型で作る鋳物にも似た自然のプロセスによって、このような細長い岩が形成されたのではないかというわけです。

小さなヘビくらいのサイズだという画像の岩とは規模が異なりますが、侵食作用の受けやすさの違いがもたらした火星の地形は、他にも見つかっています。たとえば火星・南半球のグリンガウツ・クレーターの内側にある小さなクレーターでは、底にたまった堆積物が侵食されにくかったため、小さなクレーターの底だった部分のほうが周囲よりも高くなっているといいます。

また、河川の底にたまった堆積物が周辺よりも侵食されにくかったために形成されたとみられる畝状の地形からは、かつて川が流れていた場所がわかるだけでなく、堆積物を採取・分析することで太古の火星の環境に関する情報が得られるかもしれないと期待されています。

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2012年8月に着陸して以来、キュリオシティは火星のゲール・クレーターで探査活動を行っています。この不思議な岩の画像は2022年5月15日(ミッション3474ソル目※)に、キュリオシティが登り続けているゲール・クレーター中央のアイオリス山(シャープ山、高さ約5500m)で撮影されました。太古のゲール・クレーターには湖が形成されるほどの水があったと考えられていますが、この岩もまた、かつてこの場所で水が流れていたことを私たちに伝えているようです。

※…1ソル=火星での1太陽日、約24時間40分

冒頭の画像は撮影から1か月後の2022年6月15日にJPLから解説付きで公開されている他に、天体画像を毎日1枚紹介している「Astronomy Picture of the Day」(APOD、アメリカ航空宇宙局とミシガン工科大学が運営)でも2022年6月20日に取り上げられています。

【▲ 火星探査車「キュリオシティ」が撮影したセルフィー(2021年3月30日公開)(Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS)】

 

関連:火星に花の形をした岩石? キュリオシティが発見した「ブラックソーン・ソルト」

Source

  • Image Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS
  • NASA/JPL - PIA25362: Curiosity Spots Finger-Like Rocks
  • APOD - Rock Fingers on Mars

文/松村武宏