こちらは「おおいぬ座」の方向にある2つの渦巻銀河を捉えた画像です。向かって左側の銀河は「NGC 2207」、右側の銀河は「IC 2163」と呼ばれています。
NGC 2207とIC 2163は重力を介して相互作用していると考えられています。アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、現在私たちは2つの銀河が最接近してから4000万年ほど後の様子を観測しているようです。NGC 2207の重力がもたらす潮汐力によってIC 2163は形が歪み、渦巻腕(渦状腕)の1つが画像右に向かって10万光年ほどの長さに引き伸ばされています。
すれ違ったNGC 2207とIC 2163は互いの重力に引かれ合って再び接近し、いずれ衝突・合体して1つの銀河になると予想されています。この宇宙に無数に存在する銀河は、別の銀河と衝突・合体することで成長してきたと考えられています。私たちが住む天の川銀河もアンドロメダ銀河(M31)と接近しつつあり、数十億年後には合体して1つの銀河になると予想されています。
冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡に搭載されていた観測装置「広域惑星カメラ2(WFPC2)」による観測データ(紫外線・可視光線・赤外線のフィルター4種類を使用)をもとに作成され、1999年11月4日付で公開されたもので、NASAのハッブル宇宙望遠鏡Twitter公式アカウントが2022年6月15日付で改めて紹介しています。
Like ships in the night, two spiral galaxies in this #HubbleClassic image are captured in a near-collision! ⛵
— Hubble (@NASAHubble) June 14, 2022
Trails of stars and gas are stretched by the gravitational pull between the galaxies, NGC 2207 (left) and IC 2163 (right): https://t.co/QQFRP9nkOo pic.twitter.com/6jnQNhLnI5
関連:電波で捉えた渦巻銀河の星形成現場。ヨーロッパ南天天文台が画像公開
Source
- Image Credit: NASA and The Hubble Heritage Team (STScI)
- NASA/STScI - A Grazing Encounter between Two Spiral Galaxies
文/松村武宏