衝突する運命にある2つの渦巻銀河。ハッブル宇宙望遠鏡の画像を振り返る
【▲ すれ違う2つの渦巻銀河「NGC 2207」(左)と「IC 2163」(右)(Credit: NASA and The Hubble Heritage Team (STScI))】
【▲ すれ違う2つの渦巻銀河「NGC 2207」(左)と「IC 2163」(右)(Credit: and The Hubble Heritage Team ())】

こちらは「おおいぬ座」の方向にある2つの渦巻銀河を捉えた画像です。向かって左側の銀河は「NGC 2207」、右側の銀河は「IC 2163」と呼ばれています。

NGC 2207とIC 2163は重力を介してしていると考えられています。アメリカ航空宇宙局()によると、現在私たちは2つの銀河が最接近してから4000万年ほど後の様子を観測しているようです。NGC 2207の重力がもたらす潮汐力によってIC 2163は形が歪み、渦巻腕(渦状腕)の1つが画像右に向かって10万光年ほどの長さに引き伸ばされています。

すれ違ったNGC 2207とIC 2163は互いの重力に引かれ合って再び接近し、いずれ衝突・合体して1つの銀河になと予想されています。この宇宙に無数に存在する銀河は、別の銀河と衝突・合体することで成長してきたと考えられています。私たちが住む(M31)と接近しつつあり、数十億年後には合体して1つの銀河になると予想されています。

冒頭の画像はに搭載されていた観測装置「広域惑星カメラ2(WFPC2)」による観測データ(紫外線・可視光線・赤外線のフィルター4種類を使用)をもとに作成され、1999年11月4日付で公開されたもので、NASAのハッブル宇宙望遠鏡Twitter公式アカウントが2022年6月15日付で改めて紹介しています。

 

関連:電波で捉えた渦巻銀河の星形成現場。ヨーロッパ南天天文台が画像公開

Source

  • Image Credit: and The Hubble Heritage Team ()
  • NASA/STScI - A Grazing Encounter between Two Spiral Galaxies

文/松村武宏