【▲ 赤外線で撮影された「いて座」の一角(Credit: ESO/VVV consortium/D. Minniti)】

【▲ 赤外線で撮影された「いて座」の一角(Credit: ESO/VVV consortium/D. Minniti)】

こちらは、ヨーロッパ南天天文台(ESO)が運営するチリのパラナル天文台にある「VISTA望遠鏡」を使って撮影された「いて座」の一角です。

「いて座」の方向には星々が集まった天の川銀河中心部分の膨らみ「銀河バルジ」があります。画像は満月の視直径と同じくらいの横幅がある範囲を捉えたものなのですが、その視野全体が銀河中心の方向に見える無数の星々によって埋め尽くされています。

実はこの画像、赤外線のフィルター3種類を使って取得された画像に青・緑・赤の3色を擬似的に割り当てて作成されています。では、もしも人の目で同じ方向を見たとしたら、この星空はどのように見えるのでしょうか?

【▲ 赤外線(上)と可視光線(下)で撮影された「三裂星雲」(Credit: ESO/VVV consortium/D. Minniti/Gábor Tóth)】

【▲ 赤外線(上)と可視光線(下)で撮影された「三裂星雲」(Credit: ESO/VVV consortium/D. Minniti/Gábor Tóth)】

次の画像は、赤外線で撮影された冒頭の画像(上)と、同じ範囲を可視光線で撮影した画像(下)を比較したものです。

可視光線の画像には「三裂星雲(Trifid Nebula)」の名で知られる散光星雲「M20(Messier 20)」の姿がはっきりと写っています。ESOによれば星雲の赤色は電離した水素によるもので、青色は表面温度が高くて若い星の光が散乱したものだといいます。改めてよく見てみると、三裂星雲は赤外線の画像にもぼんやりと写っていることがわかります。


天の川銀河の中心がある方向には、可視光線を吸収・散乱しやすい塵が多く分布しています。しかし塵にさまたげられにくい赤外線の波長を利用することで、可視光線では見えない中心付近やその向こう側の様子を探ることができます。VISTA望遠鏡による赤外線を利用した観測の結果、天の川銀河の中心よりもさらに遠い約3万7000光年先にある2つのセファイド(ケフェイド)変光星が新たに見つかったとのことです。

冒頭の画像はESOから2015年2月4日付で公開されたもので、ESOのTwitter公式アカウントを通して2022年5月24日付で改めて紹介されています。

【▲ 赤外線と可視光線で撮影された「三裂星雲」の比較動画】
(Credit: ESO/VVV consortium/D. Minniti/Gábor Tóth)

 

関連:超大型望遠鏡VLTが撮影したイータカリーナ星雲の美しき“破壊の柱”

Source

  • Image Credit: ESO/VVV consortium/D. Minniti/Gábor Tóth
  • ESO - VISTA Stares Right Through the Milky Way

文/松村武宏

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