【▲銀河団エイベル2256が作り出した巨大な「電波遺物」(Credit: Rajpurohit et al. 2022)】

【▲銀河団エイベル2256が作り出した巨大な「電波遺物」(Credit: Rajpurohit et al. 2022)】

こちらの入り乱れたような複雑な構造物の画像は「エイベル2256Abell 2256)」と呼ばれる銀河団が作り出した巨大な「電波遺物(radio relic)」です。

電波遺物とは、銀河団の外縁部に見られる電波放射領域の痕跡のこと。正確な原因は不明ですが、衝撃波が中心的な役割を果たしていて、衝撃波によるプラズマの加速、再加速、圧縮が放射の原因であると考えられています。

今回、Kamlesh Rajpurohit氏(イタリアのボローニャ大学などに所属)が率いる研究チームは「アップグレードされた巨大メートル波電波望遠鏡(upgraded Giant Metrewave Radio TelescopeuGMRT)」による新しい観測結果を用いて、エイベル2256を取り巻く衝撃波の原因について調査しました。

高解像度画像とスペクトルから、電波遺物の表面は衝撃波前面の痕跡であり、銀河団内の銀河間に充満している高温の乱流プラズマの相互作用によって、ごちゃごちゃとねじれた状態になっていることが示唆されました。

【▲uGMRTによる新しい電波観測(赤)と、チャンドラX線観測衛星による観測(青)を重ね合わせた画像。「電波遺物」の詳細な構造を強調しています(Credit: Rajpurohit et al. 2022)】

【▲uGMRTによる新しい電波観測(赤)と、チャンドラX線観測衛星による観測(青)を重ね合わせた画像。「電波遺物」の詳細な構造を強調しています(Credit: Rajpurohit et al. 2022)】

画像は2022年5月2日付けでAAS NOVA(アメリカ天文学会発行のジャーナルからハイライトを掲載しているサイト)に「注目の画像(Featured Image)」として紹介されました。

 

Source

文/吉田哲郎