「天の川銀河に関する画期的な成果」の発表を予告 国際プロジェクトEHT
EHT(イベント・ホライズン・テレスコープ)のロゴ(Credit: EHT Collaboration)
【▲ EHT(イベント・ホライズン・テレスコープ)のロゴ(Credit: EHT Collaboration)】

ヨーロッパ南天天文台(ESO)と米国科学財団(NSF)は4月28日付で、国際協力プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT:Event Horizon Telescope)」による記者会見の開催を予告しました。

発表の内容は「天の川銀河についての画期的な成果(groundbreaking Milky Way results)」とされています。記者会見が始まるのは日本時間2022年5月12日(木)22時で、欧米をはじめ日本を含む世界各地で同時に開催される模様です。

EHTが撮影に成功して2019年4月に公開された、M87中心の超大質量ブラックホールシャドウとブラックホール周辺の様子(疑似カラー)(Credit: EHT Collaboration)
【▲ EHTが撮影に成功して2019年4月に公開された、M87中心の超大質量ブラックホールシャドウとブラックホール周辺の様子(疑似カラー)(Credit: EHT Collaboration)】

EHTは3年前の2019年4月10日に、「おとめ座」の方向約5500万光年先にある楕円銀河「M87」の中心に潜む超大質量ブラックホールのシャドウ(影)の撮影に観測史上初めて成功したことを発表。その後も過去の観測データを解析してM87の超大質量ブラックホール周辺の構造が変化する様子を明らかにしたり、電波銀河「ケンタウルス座A」から噴出するジェットの根元の様子を捉えたりすることに成功しています。

いっぽう、EHTは天の川銀河の中心に存在が確実視されている超大質量ブラックホール「いて座A*(エースター)」も観測対象としてきたものの、「いて座A*」では電波強度の短周期変動が明らかにされており、M87のような直接撮像は難しいのではないかとも指摘されていました。

今回予告された会見で発表される成果の具体的な内容はまだわかりませんが、これまでのEHTの功績や観測対象を踏まえれば、「いて座A*」に関する大きな成果が得られた可能性も考えられます。soraeではEHTの新たな成果を改めてお伝えする予定です。

 

関連
人類が新たに開いた扉。「ブラックホールの直接撮影」に成功。“シャドウ”を捉える
超大質量ブラックホールの揺れ動くシャドウ。M87の過去の観測データを解析
銀河から噴出するジェットの根元が鮮明に! EHTによる成果が発表される
天の川銀河中心のブラックホール「いて座A*」直接撮影は難しいかも

Source

  • Image Credit: EHT Collaboration
  • ESO - Press conference at ESO on groundbreaking Milky Way results from the Event Horizon Telescope Collaboration
  • NSF - Event Horizon Telescope Collaboration to announce groundbreaking results about the center of our galaxy

文/松村武宏