雲のように淡く広がった天体「超淡銀河」その特徴とは
【▲ 超淡銀河「GAMA 526784」(Credit: ESA/Hubble & NASA, R. van der Burg; Acknowledgement: L. Shatz)】
【▲ 超淡銀河「GAMA 526784」(Credit: ESA/Hubble & NASA, R. van der Burg; Acknowledgement: L. Shatz)】

こちらは「うみへび座」の方向約40億光年先にある銀河「GAMA 526784」の姿です。といっても、どれがその銀河なのか、すぐにはわからない人もいるのではないでしょうか。画像中央のやや左側に写っている雲のように淡く広がった天体、これがGAMA 526784です。

GAMA 526784は「超淡銀河」(UDG:Ultra-Diffuse Galaxy、超拡散状銀河)と呼ばれているタイプの銀河です。超淡銀河は非常に薄く広がった銀河で、星の数は天の川銀河の100分の1以下。その大きさや形態は多様で、矮小楕円銀河(小さく暗い楕円銀河)に似た丸くなめらかな形を持つものもあれば、他の銀河との相互作用によって形がゆがんでいるものもあるといいます。

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画像を公開した欧州宇宙機関(ESA)によると、超淡銀河には幾つかの特徴がみられるといいます。

一つは暗黒物質(ダークマター)の量。銀河の質量のうち、私たちが知覚できる通常の物質(バリオンと呼ばれる)が占める割合は低く、大半は暗黒物質だとされています。しかし超淡銀河の場合、暗黒物質が占める比率がとても高いものもあれば、反対にとても低いものも見つかっているといいます。また、他のタイプの銀河では見られない明るい球状星団が豊富に存在することも、超淡銀河の特徴の一つとされています。

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」を使って取得された画像(可視光線と赤外線のフィルターを使用)をもとに作成されたもので、ESAから2022年4月25日付で公開されています。なお、ESAによれば、ハッブル宇宙望遠鏡は超淡銀河の特性を明らかにするために実施された一連の観測にてGAMA 526784の画像を取得しており、この銀河に散在する小さな星形成領域のサイズや年齢を調べる上で役立ったとのことです。

 

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Source

  • Image Credit: ESA/Hubble & NASA, R. van der Burg; Acknowledgement: L. Shatz
  • ESA/Hubble - Hubble Spies a Tenuous Diffuse Galaxy

文/松村武宏