活動銀河核を覆う暗黒帯、ハッブルが撮影した“みなみのうお座”の渦巻銀河
【▲ 渦巻銀河「NGC 7172」(Credit: ESA/Hubble & NASA, D. J. Rosario, A. Barth; Acknowledgement: L. Shatz)】

こちらは「みなみのうお座」の方向約1億1000万光年先にある渦巻銀河「NGC 7172」の姿です。NGC 7172は地球に対して横を向けた位置関係にある、いわゆるエッジオン銀河のひとつ。塵の豊富な暗いダストレーン(ダークレーン)が明るい中心部分を覆うように左右へ伸びている様子は、まるで夕日を隠すように広がる雨雲のようでもあります。

画像を公開した欧州宇宙機関(ESA)によると、NGC 7172は活動銀河の一種であるセイファート銀河(セイファート2型)に分類されています。活動銀河の中心には狭い領域から強い電磁波を放射する活動銀河核(AGN:Active Galactic Nucleus)が存在しており、その原動力は超大質量ブラックホールだと考えられています。

ESAによればこの画像には、天の川銀河近傍の活動銀河核を調査するために「ハッブル」宇宙望遠鏡を使って実施された2つの観測で取得されたデータが用いられているとのことです。なお、活動銀河核は電波バーストの有無や可視光線での明るさによって幾つかに分類できることが知られていますが、その基本構造はどれも同じだと考えられています。

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冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡に搭載されている2つのカメラ「広視野カメラ3(WFC3)」「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」を使って取得した画像(可視光線と赤外線のフィルターを使った合計4点)をもとに作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚としてESAから2022年3月28日付で公開されています。

 

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  • Image Credit: ESA/Hubble & NASA, D. J. Rosario, A. Barth; Acknowledgement: L. Shatz
  • ESA/Hubble - More Than Meets the Eye

文/松村武宏