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Credit: X-ray: NASA/CXC/Stanford Univ./M. de Vries; Optical: NSF/AURA/Gemini Consortium)

【▲パルサー「PSR J2030+4415」から伸びる、物質と反物質(陽電子)からなる非常に長いビーム。左側:チャンドラが捉えたX線(青色表示)画像、右側:パルサーのクローズアップ画像(Credit: X-ray: NASA/CXC/Stanford Univ./M. de Vries; Optical: NSF/AURA/Gemini Consortium)】

パルサーから伸びる、物質と反物質(陽電子)からなる非常に長いビーム!

この画像はNASAX線観測衛星チャンドラと、ハワイのマウナケア山にあるジェミニ光学望遠鏡によって捉えられました。

このパルサーは、地球から約1600光年の距離にあるPSR J2030+4415(略してJ2030と呼ばれる、比較的小さなパルサーです。現在は1秒間に約3回、回転しています。

左側のパネルは、チャンドラが捉えたX線(青色表示)画像で、パルサーから磁力線に沿って流れる粒子が、光速の約3分の1の速度で移動しているところを示しています。この画像はビーム全体の3分の1しか表示していないのですが、その全体像(X線画像)を示す画像はこちらになります。

冒頭の画像の左側パネルの全体像(X線画像)(Credit: NASA/CXC/Stanford Univ./M. de Vries)

【▲冒頭の画像の左側パネルの全体像(X線画像)(Credit: NASA/CXC/Stanford Univ./M. de Vries)】

次に、右側のパネルは、パルサーをクローズアップしたもので、パルサー自体の周囲を飛ぶ粒子が作り出したX線が見えます。パルサーが秒速450㎞で宇宙を移動するとき、これらの粒子の一部が逃げ出し、長いフィラメントを作り出します。

通常パルサーは荷電粒子の風を発生させ、その強力な磁場の中に荷電粒子を閉じ込めています。パルサーは高速で星間空間を移動し、その後ろに風を引きずることになります。パルサーの前には、動いているボートの前に水が溜まっていくように、ガスのバウ・ショック(bow shock:弧状衝撃波)が進んでいます。

しかし、2030年前にバウ・ショックの動きが止まり、パルサーが追いついてきたようです。そして、パルサー風の磁場が星間磁場とリンクし、粒子の漏れを引き起こしたと思われます。その結果、高エネルギーの電子と陽電子が、銀河系に接続することで形成された「ノズル」を通じて噴出した可能性があるとのことです。

こちらは「PSR J2030+4415」について説明した動画です。

宇宙の大部分は反物質ではなく、普通の物質で構成されています。しかし、科学者たちは、地球上の検出器で比較的多くの陽電子を検出し、その証拠を積み重ねています。このビームは、電子に対応する反物質である陽電子が、天の川銀河全体で驚くほど大量に検出されていることを説明するのに役立つと思われます。

反物質を扱ったSF的なネタには事欠きませんが、この研究のように、足が地についた研究の進展を期待したいものですね。

 

関連:天の川銀河に存在する反物質星の数が推定される

Source

  • Video Credit: Chandra X-ray Observatory
  • Image Credit: X-ray: NASA/CXC/Stanford Univ./M. de Vries; Optical: NSF/AURA/Gemini Consortium、NASA/CXC/Stanford Univ./M. de Vries
  • NASA - Tiny Star Unleashes Gargantuan Beam of Matter and Antimatter
  • Chandra X-ray Observatory - PSR J2030+4415: Tiny Star Unleashes Gargantuan Beam of Matter and Antimatter
  • arXiv - The Long Filament of PSR J2030+4415

文/吉田哲郎

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