WASP-121bの想像図(Credit: Engine House VFX)

【▲WASP-121bの想像図(Credit: Engine House VFX)】

マサチューセッツ工科大学は2月22日、マサチューセッツ工科大学カブリ天体物理学&宇宙研究所のポストドクター、トーマス・ミカル・エヴァンスさん率いる研究チームが、系外惑星「WASP-121b」についてその大気の詳細を全惑星規模で初めて明らかにしたと発表しました。

【▲公転と昼側と夜側の温度変化の関係などを示す動画】

2015年に発見されたWASP-121bは、地球から850光年ほど離れた恒星系にあります。木星の2倍ほどの大きさがある巨大ガス惑星で、公転周期は、とても短く、ちょうど30時間で主星の周りを1周します。いわゆるホット・ジュピターになります。

研究チームは、このようなWASP-121bを、ハッブル宇宙望遠鏡に搭載された分光カメラを使って、公転まるまる2週分に渡って観測しました。最初の1周分は2018年に、もう1周分は2019年に観測しています。

その結果、WASP-121bkの大気についてとても興味深いことが解りました。

WASP-121bは、潮汐ロックにより、昼側(主星の方を向いている側)と夜側(主星の反対側を向いている側)が永続的に固定されていますが、まず、この昼側と夜側の大気における水の循環が明らかになりました。

WASP-121bの昼側の気温は非常に高く2726℃以上にもなります。そのため、昼側では、水分子は、水素原子と酸素原子に分解され、風によって、夜側に運ばれます。そして、夜側では、気温が比較的に低いために、水素原子と酸素原子は結合して水分子に戻ります。しかし、この後、水分子は、風によって、再び、昼側に運ばれ、水素原子と酸素原子に分解されます。このようなWASP-121bの大気における水の循環を駆動する風の風速は、研究チームの計算によれば、5000m/sほどにも達するといいます。

次に、昼側と夜側の高度に応じた気温の変化も明らかになりました。まず、昼側について、気温は、観測可能な最も深い部分の2226℃ほどから、最も上層の部分の3226℃ほどまでに至ります。次に、夜側について、気温は観測可能な最も深い部分の1526℃ほどから、より上層の部分の1226℃ほどまでに至ります。昼側と夜側で温度の分布の仕方が逆になっているはとても興味深いですね。

さらに、研究チームが、温度の分布を基にさまざまなモデルによって計算したところ、鉄やコランダム(ルビーやサファイアの構成要素)も、昼側と夜側を循環しており、夜側では、雲を形成し、溶けたルビーやサファイアの雨などを降らせている可能性があることが解りました。

研究チームでは今年の後半に、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によるWASP-121bの観測を予定していますが、この観測によって、WASP-121bの大気中に存在が予測されている一酸化炭素の分布をマッピングできるのではないかと期待しています。

 

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文/飯銅重幸(はんどうしげゆき)