相互作用銀河「Arp 143」(Credit: NASA, ESA, STScI, and J. Dalcanton (Center for Computational Astrophysics/Flatiron Inst., UWashington))

【▲ 相互作用銀河「Arp 143」(Credit: NASA, ESA, STScI, and J. Dalcanton (Center for Computational Astrophysics/Flatiron Inst., UWashington))】

こちらは「やまねこ座」の方向およそ1億9100万光年先にある2つの銀河「NGC 2444」「NGC 2445」の姿。向かって左側がNGC 2444、右側がNGC 2445です。1966年に天文学者のホルトン・アープがまとめた特異銀河(特異な形態を持つ銀河)のカタログ「アープ・アトラス」では、2つ合わせて「Arp 143」として収録されています。

NGC 2444とNGC 2445は、重力を介して互いに影響を及ぼし合っている相互作用銀河とされています。右のNGC 2445からは左のNGC 2444に向かってガスや星が引き寄せられていて、まるで青い星々の輝きが巨大な三角形を描いているように見えます。2つの銀河をつなぐような構造にある星々は誕生から5000万年~1億年が経っているとみられており、ゆっくりと離れていく銀河の間に取り残されつつあります。

NGC 2445の青い輝きは、表面温度が高くて若い星が数多く存在することを示しています。これらの星々を生み出したNGC 2445のスターバースト(大質量の恒星が短期間に数多く誕生する現象)は、NGC 2444との相互作用がきっかけとなって引き起こされたと考えられています。

いっぽう、NGC 2444はの赤い色合い古い星々が多いことを示しています。欧州宇宙機関(ESA)によると、NGC 2444はNGC 2445との相互作用が始まるよりも前の段階で、星の材料となるガスを使い果たしていたとみられています。

また、右側にあるNGC 2445の中心部分には、ガスの暗いフィラメント(糸状構造)が見えています。ESAによるとNGC 2445の中心近くでは、誕生から100万年~200万年未満という若い星々が存在しています。これらの星から流出した塵は銀河の中心を覆い、「ハッブル」宇宙望遠鏡などによる可視光線での観測を難しくしてしまうといいます。

2022年夏の科学観測開始に向けて準備が進む新型宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」は塵の向こう側を見通せる赤外線を用いるため、NGC 2445のような銀河の中心付近にあって、可視光線では捉えられない若い星団を観測することができるといいます。ハッブルとウェッブの活躍によって、星形成の理解がさらに深まることが期待されています。

冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」および「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」を使って4種類のフィルターを介して撮影した画像から作成されたもので、2022年2月22日付で公開されています。

 

関連:接近していそうで実は離れている2つの銀河、ハッブルと地上の望遠鏡が撮影

Source

  • Image Credit: NASA, ESA, STScI, and J. Dalcanton (Center for Computational Astrophysics/Flatiron Inst., UWashington)
  • ESA/Hubble - Hubble Looks at a ‘Space Triangle’ Spawned by a Galaxy Collision
  • STScI - Galaxy Collision Creates 'Space Triangle' in New Hubble Image

文/松村武宏