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矮小不規則銀河「NGC 1705」(Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Chandar)
【▲ 矮小不規則銀河「NGC 1705」(Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Chandar)】

こちらは南天の「がか座」(画架座)の方向およそ1700万光年先にある矮小不規則銀河「NGC 1705」です。矮小銀河は数十億個ほどの恒星が集まった小さな銀河で、規模は天の川銀河の100分の1程度。そのなかでも星やガスが不規則に分布しているものは矮小不規則銀河と呼ばれています。

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欧州宇宙機関(ESA)によると、NGC 1705では比較的最近の時代になってからスターバースト(大質量の恒星が短期間に数多く誕生する現象)が起きたとみられています。矮小不規則銀河には重元素(水素やヘリウムよりも重い元素)をほとんど含まない傾向がみられるといい、NGC 1705のような銀河は恒星内部の核融合反応や超新星爆発などによる重元素の生成・蓄積が進む前の時代、つまり宇宙最初期の銀河に似ているのではないかと考えられています。

この画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」による可視光線・赤外線・紫外線の観測データをもとに作成されました。ちなみにハッブルがNGC 1705を観測したのは今回が初めてではなく、20年以上前にも当時搭載されていた「広域惑星カメラ2(WFPC2)」を使ってNGC 1705の中心部を観測しています。次の画像はWFPC2による1999年3月と2000年11月の観測データをもとに作成されました。

ハッブル宇宙望遠鏡に搭載されていた「広域惑星カメラ2(WFPC2)」を使って観測されたNGC 1705の中心部(Credit: NASA, ESA and the Hubble Heritage Team STScI/AURA)
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡に搭載されていた「広域惑星カメラ2(WFPC2)」を使って観測されたNGC 1705の中心部(Credit: NASA, ESA and the Hubble Heritage Team STScI/AURA)】

WFPC2はスペースシャトル「アトランティス」による2009年5月のサービスミッション(STS-125)にてWFC3と入れ替えられました。ESAによると、WFC3は以前よりも詳細にNGC 1705を観測することができたといいます。冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚「Hubble Revisits a Galactic Oddball」として、ESAから2022年1月31日付で公開されています。

 

関連:ハッブル宇宙望遠鏡が撮影、南天“ほうおう座”の相互作用銀河

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Chandar
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏

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