ハッブル&超大型望遠鏡が撮影、南天“ほ座”の渦巻銀河「NGC 3318」
渦巻銀河「NGC 3318」(Credit: ESA/Hubble & NASA, ESO, R. J. Foley; Acknowledgement: R. Colombari)
【▲ 渦巻銀河「NGC 3318」(Credit: ESA/Hubble & NASA, ESO, R. J. Foley; Acknowledgement: R. Colombari)】

こちらは南天の「ほ座」(帆座)の方向およそ1億1500万光年先にある銀河「NGC 3318」です。多くの星が集まった中央部分の明るい銀河バルジ、その周りで渦巻く青い星々の輝きが彩る渦巻腕の外縁は、全体では三角形を描いているようにも見えます。

NGC 3318がある「ほ座」は、もともとは「アルゴ座(Argo)」または「アルゴ船座(Argo Navis)」と呼ばれる古い星座の一部でした。アルゴ座は今から100年前の1922年、現在の88星座が定められた際に3つに分割されて「りゅうこつ座」「とも座」そして「ほ座」が誕生しました。画像を公開した欧州宇宙機関(ESA)では銀河が位置する「ほ座」にちなんで、NGC 3318の姿が風を受けた船の帆(三角帆)に似ていると表現しています。

なお、ストラスブール天文データセンターのデータベース「SIMBAD」によると、NGC 3318では2000年から2020年にかけて3つの超新星が検出されています。これら超新星の光は約1億1500万年かけて地球に到達しているため、実際に超新星が起きた頃の地球は恐竜が繁栄していた中生代白亜紀だったことになります。ビッグバンが起きたとされているのは、その120倍も時間を遡った約138億年前。私たち人類の歩みは、長い宇宙の歴史と比べれば本当に一瞬でしかないのだと改めて思い至ります。

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」およびヨーロッパ南天天文台(ESO)「超大型望遠鏡(VLT)」の広視野面分光観測装置「MUSE」による観測データから作成されたもので、ESAからハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚「Sail of Stars」(星々の帆)として2022年1月17日付で公開されています。

 

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Image Credit: ESA/Hubble & NASA, ESO, R. J. Foley
Acknowledgement: R. Colombari
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏