NASAは12月17日、イタリアのボローニャ大学のフランチェスコ・ウベルトシさん率いる研究チームが、NASAが運用するチャンドラX線観測衛星の観測データを使って、銀河団の中心に謎の4つの巨大な空洞を発見したと発表しました。
銀河団は、重力的な集まりとしては、宇宙でも最大の構造になります。数百、ときに数千の銀河、銀河団ガス、ダークマターなどからできています。
謎の4つの巨大な空洞は、地球から39億光年ほどのところにある、銀河団「RBS 797」中心の銀河団ガスの中で発見されました。
では、なぜ銀河団ガスの中に4つの巨大な空洞ができたのでしょうか?
研究チームは、超大質量ブラックホールの連星が噴き出すジェットが原因である可能性が最も高いと述べています。巨大な空洞自体は、超大質量ブラックホールが噴き出すジェットによって、周囲の銀河団ガスが吹き飛ばされてできたと考えられますが、今回の様なケースは、連星をなす超大質量ブラックホールの上下に噴き出すジェットが、直交していたために、4つの巨大な空洞ができた可能性が指摘されます。
超大質量ブラックホールが連星をなすこと自体は十分に考えられますが、このように両方の超大質量ブラックホールが共に活動的な時期に観測されることはとても珍しいようです。
そして、今後、この2つの超大質量ブラックホールは合体し、1つの超大質量ブラックホールになると考えられています。
Image Credit: NASA/CXC/Univ. of Bologna/F. Ubertosi; Optical: NASA/STScl/M.Calzadilla
Source: NASA
文/飯銅重幸(はんどうしげゆき)