天の川銀河で輝く星々との共演、ハッブルが撮影した“ケンタウルス座”の渦巻銀河
渦巻銀河「NGC 3568」(Credit: ESA/Hubble & NASA, M. Sun)
【▲渦巻銀河「NGC 3568」(Credit: ESA/Hubble & NASA, M. Sun)】

こちらは「ケンタウルス座」の方向およそ5700万光年先にある渦巻銀河「NGC 3568」です。NGC 3568は地球にほぼ真横を向けた位置関係にあり、渦巻腕が銀河の中心部を取り巻く様子は判然としないものの、銀河平面に対して垂直な方向(厚さ方向)に広がる構造を見て取ることができます。

画像の上半分で明るく輝く4つの天体は、いずれも天の川銀河にある恒星です。NGC 3568は地球から見てこれらの星々より何千倍~何万倍も遠くにあり、このように並んで見えるのは偶然なのですが、まるで4つの星の明かりにライトアップされた星雲のようにも感じられます。

欧州宇宙機関(ESA)によると、NGC 3568では2014年11月に超新星「SN 2014dw」が検出されています。SN 2014dwは「II型」(太陽よりも8倍以上重い星が起こす重力崩壊型もしくはコア崩壊型と呼ばれるタイプ)の超新星とみられており、ニュージーランドのアマチュア天文家Stuart Parkerさんによって発見されました。天文学ではプロの研究者だけでなく世界中のアマチュア天文家も活躍しており、超新星や彗星の発見などで貢献しています。

関連
天の川で10000個の新しい変光星を発見 市民天文学の活躍と期待
存在が予測されていた「電子捕獲型超新星」ついに観測 国内アマチュア天文家も貢献

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡「広視野カメラ3(WFC3)」および「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」による観測データから作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚「Hubble Gazes Sidelong at NGC 3568」として、ESAから2021年12月13日付で公開されています。

 

関連:南天「巨嘴鳥座」の棒渦巻銀河。ハッブルの4つのフィルターで捉える

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, M. Sun
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏