ルナー・リコネサンス・オービターが2021年10月13日に撮影した土星(Credit: NASA/GSFC/Arizona State University)

【▲ルナー・リコネサンス・オービターが2021年10月13日に撮影した土星(Credit: NASA/GSFC/Arizona State University)】

こちらはアメリカ航空宇宙局(NASA)の月周回衛星「ルナー・リコネサンス・オービター」(LRO:Lunar Reconnaissance Orbiter)が撮影した土星の画像です。特にスマートフォンでご覧の方は見づらいかもしれませんが、画像の中央に小さく写っている土星の姿がわかりますでしょうか?

次の画像は中央部分が4倍に拡大されたものです。LROは地球の月を周回軌道上から観測するために作られた探査機であり、そのカメラが本来撮影するのは月面です。そのため、先日ご紹介した「ハッブル」宇宙望遠鏡撮影の土星画像と比べて解像度はずっと低く、色もモノクロですが、土星本体と環を識別することができます。

冒頭の画像の中央部分を4倍に拡大したもの(Credit: NASA/GSFC/Arizona State University)

【▲冒頭の画像の中央部分を4倍に拡大したもの(Credit: NASA/GSFC/Arizona State University)】

LROには狭角カメラ2台と広角カメラ1台から構成される観測装置「LROC」(Lunar Reconnaissance Orbiter Camera)が搭載されています。冒頭の画像は、日本時間2021年10月13日18時56分8秒にLROCの狭角カメラを使って撮影されました。

画像を公開したアリゾナ州立大学によると、LROCの狭角カメラは秒速約1.6kmで飛行する探査機の移動に合わせて月面を帯状に撮影するラインスキャン(ラインセンサー、プッシュブルームとも)方式が採用されているため、月面ではなく土星などの惑星を捉える場合には探査機本体を旋回させながら撮影しているとのこと。月を周回する軌道上から土星を撮影するのに適したタイミングを図り、探査機の姿勢を精密に制御するための計画を立てることで、初めて冒頭の画像が取得できたというわけです。

ルナー・リコネサンス・オービターが2020年8月に撮影した木星。輪郭の右端に衛星イオとエウロパがかすかに捉えられている(Credit: NASA/GSFC/Arizona State University)

【▲ルナー・リコネサンス・オービターが2020年8月に撮影した木星。輪郭の右端に衛星イオとエウロパがかすかに捉えられている(Credit: NASA/GSFC/Arizona State University)】


LROが月以外の天体を撮影するのは今回が初めてではありません。たとえば2021年8月には木星の姿を撮影していますし、地球から見て木星と土星が非常に近づいて見える「会合」が話題になった2020年12月には接近した木星と土星も捉えています。また、2017年8月に北米で日食が観測された際には地球に落ちる月の影を撮影しました。

ルナー・リコネサンス・オービターが2020年12月に撮影した木星と土星。左は土星の明るさを4倍に補正したもので、右は補正なしの本来の明るさ(Credit: NASA/GSFC/Arizona State University)

【▲ルナー・リコネサンス・オービターが2020年12月に撮影した木星と土星。左は土星の明るさを4倍に補正したもので、右は補正なしの本来の明るさ(Credit: NASA/GSFC/Arizona State University)】

どうして月探査機本来のターゲットではない惑星の画像を撮影するのか。LROCの運用チームはその問いに対して、私たちも惑星の探索と撮影が大好きだからと答えています。夜空に望遠鏡を向けて楽しむ世界中の人々と同じように、ルナー・リコネサンス・オービターは今後も月探査の合間に惑星の撮影を続けていくことでしょう。

地球に落ちた月の影(中央上)。ルナー・リコネサンス・オービターが2017年8月に撮影(Credit: NASA/GSFC/Arizona State University)

【▲地球に落ちた月の影(中央上)。ルナー・リコネサンス・オービターが2017年8月に撮影(Credit: NASA/GSFC/Arizona State University)】

 

関連:なめらかに回転する月の動画、NASA月周回衛星のデータをもとに作成される

Image Credit: NASA/GSFC/Arizona State University
Source: アリゾナ州立大学
文/松村武宏