【▲重力レンズ効果を受けた銀河「SGAS 0033+02」とその周辺の様子(Credit: ESA/Hubble & NASA, E. Wuyts)】

こちらは広大な夜空のほんの一部、「うお座」の一角を撮影した画像です。撮影された範囲は一辺の長さ満月の視直径(見かけの直径、約0.5度)の15分の1程度なのですが、画像には実に多くの銀河が捉えられています。

画像の右下には白く輝く明るい星が写っていますが、そのすぐ左側には、画像の下に向かって押し曲げられたように弧状にゆがんだ天体が写っています。これは「SGAS J003341.5+024217」、短縮して「SGAS 0033+02」と呼ばれる銀河の像です。欧州宇宙機関(ESA)によると、SGAS 0033+02の像は重力レンズ効果を受けているためにゆがんで見えているのだといいます。

重力レンズ効果とは、遠くにある天体の像が地球との間にある別の天体の重力の影響を受けてゆがんで見える現象のこと。およそ110億光年先(赤方偏移z=2.39)にあるSGAS 0033+02は、銀河団などの重力によって像が拡大された銀河を特定する「SGAS(Sloan Giant Arcs Survey)」というプロジェクトのもとで発見されました。

ESAによれば、この画像にはSGAS 0033+02の像が全部で3つ写っているのだとか。1つ目の像は明るい星の左側にはっきりと見えていますが、2つ目の像はその上に、3つ目の像は明るい星から見て画像の上方向へ少し離れたところに写っているといいます。

【▲重力レンズ効果を受けたSGAS 0033+02の3つの像の位置を示した図(Credit: Travis C. Fischer et al.)】

こちらの画像は、SGAS 0033+02の活動銀河核を研究したTravis Fischerさん(アメリカ航空宇宙局ゴダード宇宙飛行センター)たちの論文から引用した図。目印となる明るい星は左下に写っており、SGAS 0033+02の弧状に見えている像(Lensed Arc)は四角で、別の2つの像(Counter Image 1、Counter Image 2)はで囲まれています。

図は向きが90度近く違うことに加えて、天体の色合いや明るさも異なるため、冒頭の画像とは見比べづらいかもしれません。最後にFischerさんたちの論文の図を参考に矢印を追加した拡大画像を用意してみましたが、3つの像がどこに写っているか、わかりましたでしょうか?

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」による可視光線と赤外線の観測データから作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚「One Galaxy, Three Times」としてESAから2021年11月22日付で公開されています。

【▲冒頭画像の右下部分を拡大し、論文の図を参考に像の位置を示す矢印を追加したもの(Credit: ESA/Hubble & NASA, E. Wuyts、矢印は筆者が追加)】

 

関連:ハッブル宇宙望遠鏡が撮影、柔らかに渦巻く“おとめ座”の渦巻銀河

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, E. Wuyts
Source: ESA/Hubble / 論文
文/松村武宏

 オススメ関連記事