2億光年先の渦巻く星々。ブラックホール研究で撮影された渦巻銀河
渦巻銀河「UGC 11537」(Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Seth)
【▲「UGC 11537」(Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Seth)】

こちらは「わし座」の方向およそ2億3000万光年先にある「UGC 11537」です。に正面を向けた銀河は「フェイスオン銀河」、真横を向けた銀河は「エッジオン銀河」と呼ばれることがありますが、UGC 11537はからはエッジオンに近い角度で見える位置関係にあります。

の特徴である渦巻腕の平面的な広がりはわかりづらいものの、画像では多くの星が集まる明るい銀河バルジを中心に、若く高温な青い星が彩る渦巻腕や、塵が豊富なダストレーン(ダークレーン)の渦巻く様子が俯瞰するように捉えられているのが印象的です。

欧州宇宙機関(ESA)によると、この画像は遠方銀河に存在するとみられる超大質量ブラックホールの質量を調査する研究の一環として撮影されました。宇宙や地上の望遠鏡による観測データから者が作成した銀河の星々の質量に関する詳細なモデルは、超大質量ブラックホールの質量を制約するのに役立つといいます。

また、画像にはUGC 11537と重なるように輝く2つの星をはじめ、十字形の光をともなう星が幾つか写っています。この光は望遠鏡の副鏡を支えるスパイダー(梁)で回折した光による「diffraction spike(回折スパイク)」と呼ばれるもので、に比較的近いにある星の周囲に見えています。これらの星はからはたまたま重なって見えているだけなのですが、まるでUGC 11537に華を添えているかのようです(参考:重なり合う星々の宝石のような輝き、ハッブルが撮影した“いて座”の球状星団)。

冒頭の画像は」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」による可視光線と赤外線の観測データから作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚「A Spectacular Side-On Spiral」としてESAから2021年11月15日付で公開されています。

 

関連:ハッブル宇宙望遠鏡が撮影、柔らかに渦巻く“おとめ座”の渦巻銀河

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Seth
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏

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