白色矮星を取り囲む岩石惑星の破片を描いた想像図(Credit: NOIRLab/NSF/AURA/J. da Silva)

【▲ 白色矮星を取り囲む岩石惑星の破片を描いた想像図(Credit: NOIRLab/NSF/AURA/J. da Silva)】

これまでに4500個以上が見つかっている太陽系外惑星のなかには、岩石を主体とする岩石惑星だと考えられているものが幾つもあります。地球のように生命の居住可能なハビタブルゾーンを公転しているとみられる岩石惑星も発見されているものの、その性質は地球とは大きく異なっているかもしれません。

カリフォルニア州立大学フレズノ校の地質学者Keith Putirkaさんと米国科学財団(NSF)国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab)の天文学者Siyi Xuさんは、太陽に比較的近い白色矮星の大気から検出された痕跡をもとに岩石惑星の化学組成を推定した結果、そのほとんどが地球をはじめとした太陽系の岩石惑星とは異なる組成だったとする研究成果を発表しました。

■惑星を形作る岩石の種類は多様で岩石惑星の性質もそれぞれ異なる可能性

太陽のように比較的軽い恒星はその晩年に赤色巨星へ進化して外層から周囲へとガスを放出し、やがて中心部だけが残った白色矮星になると考えられています。白色矮星のサイズは地球と同じくらいですが、その前段階である赤色巨星の頃には元の恒星から大きく膨張するため、比較的星に近い軌道を公転していた惑星は破壊される可能性があります。地球も例外ではなく、太陽が赤色巨星へと進化する数十億年後には破壊されてしまうと予想されています。

白色矮星は水素やヘリウムでできた大気を持ちますが、ここから別の元素が検出されることがあります。発表によると、これらの元素は破壊された後に白色矮星へ落下した岩石惑星や小惑星の残骸に由来するのではないかと考えられており、破壊される前の岩石惑星がどのような物質で構成されていたのかを理解することにつながると期待されています。

そこでPutirkaさんとXuさんは、太陽から650光年以内の範囲にある23個の白色矮星の観測データを詳しく調べました。これらの白色矮星では、ハワイのW.M.ケック天文台の「ケック望遠鏡」「ハッブル」宇宙望遠鏡などによるこれまでの観測によって、カルシウム・ケイ素・マグネシウム・鉄といった元素が正確に測定されていたといいます。

検出された元素の存在量をもとに鉱物や岩石の組成を両氏が推定したところ、1つのケースは地球に似ていたものの、大半のケースでは太陽系のどこにも見られない多様な種類の岩石で惑星が形成されていた可能性が示されたといいます。幾つかのケースでは推定された鉱物の組成が珍しかったため(※)、両氏は鉱物を分類するために新たな名前を考案する必要があったといいます。

これら白色矮星の大気からはマグネシウムが高いレベルで、ケイ素が低いレベルで検出されていることから、検出された元素は惑星内部の物質に由来する可能性が高いと両氏は考えています。Putirkaさんは、白色矮星の大気に関する過去の研究では大陸地殻の痕跡が報告されたことがあったものの、地殻の質量はマントルやコアも含めた惑星全体の質量と比べればわずかなものであるため、仮に地殻由来の岩石が存在していてもわからないだろうと語っています(岩石惑星に地殻が存在した可能性を否定するものではありません)。

※…発表によると地球(および太陽系の他の岩石惑星)のマントルでは「かんらん石」と「直方(斜方)輝石」が主要な鉱物であるものの、太陽系外の岩石惑星では「かんらん石」のかわりに「石英」が、あるいは「直方(斜方)輝石」のかわりに「ペリクレース(酸化マグネシウム)」が存在する可能性が白色矮星の観測データから示唆されるといいます

岩石の種類が異なると、岩石惑星の性質にはどのような違いが現れるのでしょうか。Putirkaさんによれば、白色矮星の観測データから推定される岩石の幾つかは地球上の岩石よりも多くの水を含むことができるため、海洋の発達に影響する可能性があるといいます。また、一部の岩石は融点が低くて地球の岩石よりも厚い地殻が形成される可能性や、岩石によっては比較的脆いためにプレート運動が促される可能性もあるようです。

恒星に近い軌道を公転する巨大ガス惑星「ホットジュピター」、地球と海王星の中間くらいのサイズがある「スーパーアース」「ミニネプチューン(サブネプチューン)」、深く広大な海に覆われた「ハイセアン」など、人類は太陽系の惑星とは異なるタイプの系外惑星の発見を通して惑星の多様性についての理解を深めてきました。

天文学者と地質学者のペアが取り組んだ今回の成果は、地球に似ているように見える太陽系外の岩石惑星であっても、実際には多様な性質を持つ可能性を示しています。Xuさんは、白色矮星へ進化する前の恒星を周回していた岩石惑星は地球に似ているように見えたかもしれないものの、そのほとんどが私たちにとっては風変わりな岩石でできていたと推定され、直接比較できるものが太陽系には存在しないとコメントしています。

 

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Image Credit: NOIRLab/NSF/AURA/J. da Silva
Source: NOIRLab
文/松村武宏

 

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