宇宙望遠鏡「スピッツァー」が撮影した星形成領域「W33」(左下)とその周辺(Credit: NASA/JPL-Caltech)

こちらは「いて座」の方向にある星雲を赤外線の波長で捉えた画像です。2020年1月に運用を終えたアメリカ航空宇宙局(NASA)の赤外線宇宙望遠鏡「Spitzer(スピッツァー)」によって撮影されました。左下に見える明るい部分は巨大な星形成領域「W33」で、地球からはおよそ7800光年離れています。

赤外線は人の目には見えないので、画像は擬似的に着色されています。色は青とシアンから、塵や有機分子から、が星からの放射や超新星爆発によって加熱された塵から放射された赤外線をそれぞれ示しているといいます。無数の星々(青)を覆い隠すように塵(緑)が広がる星雲のあちこちに、暖かい塵(赤)が集中している様子がわかります。

NASAのジェット推進研究所(JPL)によると、ここではガスや塵を材料に数十億年に渡って数多くの星が形成されてきたといいます。誕生した星からの放射は星雲の形を変え、超新星爆発によって押し退けられたガスや塵は再び集まって次の世代の星を生み出します。このような星の誕生と死のサイクルが何度も繰り返されてきたのです。

ところで、スピッツァーが捉えたこの星雲、皆さんは何に似ていると感じるでしょうか。月面の模様にウサギを見出したように(カニや読書をする女性など文化や地域によって異なります)、人は天体の姿から別の何かを思い浮かべることがあります。銀河や星雲から「目」を連想することもあれば、相互作用する2つの銀河が「顔」に見えることもありますし、NASA自身も観測衛星が捉えた太陽の画像を「ジャック・オ・ランタン」に似ていると紹介したことがあります。

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スピッツァーの公開画像データの多くを処理してきたカリフォルニア工科大学の天文学者Robert Hurtさんは、冒頭の画像から「ゴジラ」を見出したといいます。画像の中央上の部分が左を向いたゴジラの頭部で、左下の星形成領域W33はゴジラの右手にあたります。輪郭が描き足された次の画像を見てから冒頭の画像を改めて見てみると、たしかにゴジラの顔のようにも見えます。皆さんはいかがでしょうか?

冒頭の画像にゴジラの輪郭を描き足したもの(Credit: NASA/JPL-Caltech)

【▲ 冒頭の画像にゴジラの輪郭を描き足したもの(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

「モンスターを探していたわけではありませんでした」と語るHurtさんはこの領域の画像を何度も目にしてきたものの、拡大して見たことはなかったといい、たまたま目に入った部分が咆哮するゴジラの目と口に見えたのだといいます。天体の画像はそのままでも美しく興味深いものですが、その姿や状況から何かを思い浮かべてみるのもまた一つの楽しみ方と言えます。

冒頭の画像はスピッツァーによる「GLIMPSE」(Galactic Legacy Infrared Mid-Plane Survey Extraordinaire)というサーベイ観測プロジェクトの下で撮影されたもので、「Godzilla Nebula Imaged by Spitzer」(スピッツァーが撮像したゴジラ星雲)のタイトルで2021年10月25日付で公開されています。

 

関連:巨大な星と周囲を取り巻く星雲の姿、ハッブルが撮影した「りゅうこつ座AG星」

Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Source: NASA/JPL
文/松村武宏

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