manoa-ifa-infant-planet-1(Credit:University of Hawaii)

【▲ すばる望遠鏡の近赤外線分光撮像装置IRCSと補償光学装置AO188によって捉えられた系外惑星「2M0437b」。母星の光はほぼ取り除かれており、十字のパターンは副鏡をささえるスパイダーの影響で見える人工的なものです(Credit: University of Hawaii)】

ハワイ大学(University of Hawaii)と日本の自然科学研究機構アストロバイオロジーセンターの研究者を含む国際研究チームは、遠方の若い恒星の周りに、これまでに発見された中で最も若い太陽系外惑星の一つを発見しました。

年齢はまだ200500万年ほどで、これまで見つかった系外惑星の中で最も若く、約46億年の地球の年齢と比べると、生まれたての赤ちゃんのような惑星です。

太陽以外の恒星の周りには何千もの惑星(系外惑星)が発見されていますが、今回の惑星は形成されたばかりで、直接観測できることが大きな特徴です。2M0437bと名付けられたこの惑星は、惑星がどのように形成され、時間とともに変化していくのかについての理解を深め、太陽系と地球の起源に新たな光を当てるのに役立つため、貴重な研究対象となっています。

「この偶然の発見は、望遠鏡で直接観測できる惑星のリストに追加されます」と、論文の筆頭著者であるハワイ大学マノア校地球科学部のエリック・ガイドス(Eric Gaidos)教授は説明します。「この惑星からの光を分析することで、惑星の組成や、母星の周りに存在するガスや塵の円盤の中で、惑星がどのようにして形成されたのかを知ることができるでしょう」

研究者たちは、この惑星は木星の数倍(3~5倍)の大きさであり、数百万年前、主要なハワイ諸島が最初に海上に出現した頃に、恒星と一緒に形成されたと推定しています。惑星は非常に若いので、その形成中に放出されたエネルギーによってまだ高温であり、キラウエア火山から噴出する溶岩と同様の温度を保っています。

2018年、「2M0437b」は、ハワイ大学天文学研究所の客員研究員である平野照幸氏(現在は自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター/国立天文台ハワイ観測所)によってマウナケア山頂のすばる望遠鏡で初めて観測されました。ここ数年は、マウナケア山頂にある他の望遠鏡を使って注意深く研究されています。

ガイドス氏と共同研究者たちは、同じマウナケア山頂にあるケック望遠鏡などを用いて、恒星が空を移動する際の位置を監視し、惑星「2M0437b」が、より遠くにある天体ではなく、恒星を周回する真の伴侶であることが確認されました。恒星はゆっくりと空を移動するため、観測には3年を要しました。

系外惑星「2M0437b」と母星は、おうし座の分子雲と呼ばれる「星形成領域」にあります(Credit: NASA)

【▲ 系外惑星「2M0437b」と母星は、おうし座の分子雲と呼ばれる「星形成領域」にあります(Credit: NASA)】

この惑星と母星は、地球から420光年離れた、おうし座の分子雲と呼ばれる「星形成領域」にあり、惑星は恒星から100天文単位(地球と太陽の距離の約100倍)離れているため観測が容易です。しかし、地球の大気による画像の歪みを補正するためには、高度な「補償光学」技術が必要です。

「今回の発見には、世界最大級の2台の望遠鏡補償光学技術、そしてマウナケアの澄んだ空が必要でした」と、共著者であるマイケル・リュー(Michael Liu)氏は語っています。「私たちは皆、このような発見が増え、将来の技術と望遠鏡を使ってより詳細に研究することを楽しみにしています」

系外惑星「2M0437b」を観測するために用いられたマウナケア山頂のすばる望遠鏡(左)とケックの望遠鏡(右)(Credit: University of Hawaii)

【▲ 系外惑星「2M0437b」を観測するために用いられたマウナケア山頂のすばる望遠鏡(左)とケックの望遠鏡(右)(Credit: University of Hawaii)】

また、研究を主導した一人である平野照幸助教も「今後、すばる望遠鏡に加えて、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などによるさらなる観測で惑星の大気などを調べ、生まれたての惑星がどのような性質を持っているのか明らかにしたいと考えています」と研究への展望と期待を語っています。

 

Image Credit: University of HawaiiNASA
Source: University of HawaiiSubaru Telescopeアストロバイオロジーセンター
文/吉田哲郎

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