ドラゴンフライミッションでは2030年代半ばに着陸機として回転翼航空機ドラゴンフライ(Dragonfly=トンボ。上掲のイラスト参照)を土星の衛星タイタンに送り込む予定。タイタンの地表における本格的な探査はこれが初めて(Credit: Johns Hopkins/APL)

【▲ ドラゴンフライミッションでは2030年代半ばに着陸機として回転翼航空機ドラゴンフライ(Dragonfly=トンボ。上掲のイラスト参照)を土星の衛星タイタンに送り込む予定。タイタンの地表における本格的な探査はこれが初めて(Credit: Johns Hopkins/APL)】

アメリカのコーネル大学は8月10日、コーネル天体物理&惑星科学センター所長などを務めるヘイズさんなどが参加するドラゴンフライサイエンスチームが、NASAが主導する土星の衛星タイタンの探査ミッション「ドラゴンフライミッション(Dragonfly=トンボ)」における科学的な目的を公表したと発表しました。

土星の衛星タイタンは、直径が5149kmほど(地球の4割ほど)もあり、太陽系でも2番目に大きな衛星です。太陽系の衛星のなかでは、唯一、窒素を主成分とする厚い大気を持ち、その表面に液体が存在することが確認されています。

特筆すべきことは、このタイタンには地球のような気象システムが存在することです。タイタンでは、地球におけるのように、液体のメタン循環しています。メタンの雨が降り、メタンの湖や海になり、また、蒸発して、メタンの雨になります。

ドラゴンフライミッションでは、2030年代半ばに、ドラゴンフライと呼ばれる回転翼航空機を送り込んで、このようなタイタンの地表において探査をおこなう予定です。

ちなみに、タイタンは重力が地球の1/7ほどしかない上に、大気の濃さは地球の4倍ほどもあるために、飛行するには理想的な環境です。ドラゴンフライは、タイタンの丸1日(地球の約16日に相当)ごとに、飛行して場所を移しながら探査する予定になっています。

ドラゴンフライミッションの概略図。降下、着陸、地上活動、飛行など(Credit: Johns Hopkins/APL)

【▲ ドラゴンフライミッションの概略図。降下、着陸、地上活動、飛行など(Credit: Johns Hopkins/APL)】

そして、今回公表されたドラゴンフライサイエンスチームの論文によると、ドラゴンフライミッションの科学的な目的は大きく分けて次の3つになります。

まず、バイオシグネチャー(biosignatures=生命存在指標)となる化学物質の探索です。この探索では、過去から現在まで、水だけではなく液体のメタンなどの炭化水素の溶媒(solvent)をベースにする生命についても、考え得るバイオシグネチャーを探索します。

次に、上述したタイタンにおけるメタンの循環を詳しく調べます。

そして、最後に、タイタンにおける生命の誕生にいたる化学進化を詳しく調べます。

生命は、単純な有機化合物から複雑な有機化合物へと化学的に進化していくことで誕生したと考えられていますが、タイタンの大気と地表において、現在、どの程度、この化学進化が進んでいるかを詳しく調べます。

もしかしたら、ドラゴンフライミッションで何かしらの生命の存在を示す兆候が発見されるかもしれませんね。とても楽しみです!

 

Image Credit: Johns Hopkins/APL
Source: コーネル大学プレスリリース論文
文/飯銅重幸

 オススメ関連記事