夜空の一角にあふれる無数の銀河、ダークエネルギーカメラが撮影
リング状の銀河「LEDA 14884」(右)とその周辺(Credit: CTIO/NOIRLab/DOE/NSF/AURA, Image processing: Travis Rector (University of Alaska, Anchorage/NSF's NOIRLab), Jen Miller (Gemini Observatory/NSF's NOIRLab), Mahdi Zamani & Davide de Martin (NSF's NOIRLab))
【▲ リング状の銀河「LEDA 14884」(右)とその周辺(Credit: CTIO/NOIRLab/DOE/NSF/AURA, Image processing: Travis Rector (University of Alaska, Anchorage/NSF's NOIRLab), Jen Miller (Gemini Observatory/NSF's NOIRLab), Mahdi Zamani & Davide de Martin (NSF's NOIRLab))】

こちらはチリのセロ・トロロ汎米天文台から撮影された「エリダヌス座」の一部。真っ暗な空に無数の天体が輝く様子は人の目に見える星空と同じように思えますが、画像の右側にあるリング状の銀河「LEDA 14884」をはじめ、ここに写っている光点のほとんどは天の川銀河に属する星々ではなく銀河なのです。

何千もの銀河が写っているこの画像は、セロ・トロロ汎米天文台のブランコ4m望遠鏡に設置されている「ダークエネルギーカメラ(DECam)」による観測データを利用して作成されました。ダークエネルギーカメラは満月約14個分の広さ(3平方度)を一度に撮影できる巨大なデジタルカメラ(画素数約520メガピクセル)のような観測装置で、その名の通りダークエネルギー(暗黒エネルギー)の研究を主な目的として開発されました。ダークエネルギー研究のための観測はすでに終了していますが、ダークエネルギーカメラの運用はその後も続いています。

視野いっぱいに無数の銀河を捉えた画像といえば、「ハッブル」宇宙望遠鏡が撮影した「ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド(Hubble Ultra Deep Field)」などがよく知られています。ハッブル宇宙望遠鏡の名前の由来となったアメリカの天文学者エドウィン・ハッブルによって天の川銀河の外にも銀河が存在することが明らかになり、人類が宇宙の広大さを認識し始めてからまだ100年ほどしか経っていないことを思うと、この100年間における知識や技術の進歩には驚嘆するばかりです。

冒頭の画像はNOIRLabの今週の一枚「A Sky Full of Galaxies」として2021年3月10日付で公開されています。

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド(Credit: NASA, ESA, and S. Beckwith (STScI) and the HUDF Team)
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド(Credit: NASA, ESA, and S. Beckwith (STScI) and the HUDF Team)】

 

関連:26万の光は全て銀河。133億年の歴史を示す「京」個の星達

Image Credit: CTIO/NOIRLab/DOE/NSF/AURA
Image processing: Travis Rector (University of Alaska, Anchorage/NSF's NOIRLab), Jen Miller (Gemini Observatory/NSF's NOIRLab), Mahdi Zamani & Davide de Martin (NSF's NOIRLab)
Source: NOIRLab
文/松村武宏