こちらは2015年1月24日に「ハッブル」宇宙望遠鏡が撮影した木星の姿です。普段「木星の画像」としてよく目にするものとは違っておなじみの大赤斑は写っていませんが、その表面には3つの黒くて丸い模様が生じていることがわかります。
この模様は右上から順に、4つのガリレオ衛星のうち「イオ」「カリスト」「エウロパ」から落ちた影です。影の左下には、木星の手前を横切っていくイオとカリストそのものも写っています。42分後に撮影された次の画像では衛星と影が右上に移動していて、左下には新たにエウロパがその姿を現しています。
ちなみにハッブル宇宙望遠鏡を運用する宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)によると、この2枚の画像にはガリレオ衛星よりも小さな衛星「アマルテア」「テーベ」とその影も捉えられているとのこと。その位置は各画像の注釈付きバージョン(その1、その2)に書き込んでありますが、言われなければ気が付かないほどかすかに写っています。
いっぽう、こちらは2019年9月12日にアメリカ航空宇宙局(NASA)の木星探査機「ジュノー」が撮影したイオの影。ジュノーに搭載されている可視光カメラ「JunoCam」によって撮影されたデータをもとに、市民科学者のKevin M. Gill氏が編集・公開したものです。
巨大なガス惑星に落ちた衛星の影は遠目に見ると小さく感じられますが、ジュノーが捉えた影のサイズは直径約3600kmのイオとほぼ同じとのことなので、実際には日本列島がすっぽり覆われてしまうほどの大きさです。
ハッブル宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」によって撮影された木星の画像は2015年2月5日に宇宙望遠鏡科学研究所から、ジュノーの「JunoCam」によって撮影されたイオの影の画像は2019年9月26日にNASAのジェット推進研究所(JPL)から公開されています。
関連:木星の衛星ガニメデの最新画像、NASAの探査機ジュノーが撮影
Image Credit: NASA/ESA
Source: STScI / NASA/JPL
文/松村武宏