ハビタブルゾーンを公転する太陽系外惑星を描いた想像図(Credit: NASA Ames/JPL-Caltech/T. Pyle)

【▲ ハビタブルゾーンを公転する太陽系外惑星を描いた想像図(Credit: NASA Ames/JPL-Caltech/T. Pyle)】

人類はこれまでに4300個以上の太陽系外惑星を発見していて、そのなかには恒星のハビタブルゾーン(地球型惑星の表面に液体の水が存在し得る領域)を公転する地球に近いサイズの岩石惑星も含まれています。こうした系外惑星は生命が居住可能な環境を持っている可能性があることから、バイオシグネチャー(生命存在の兆候)やテクノシグネチャー(技術的な兆候)を検出する方法についての研究も進められています。

ただ、ハビタブルゾーンを公転しているからといって、必ずしもその惑星が生命に適しているとは限りません。たとえば、地球サイズの系外惑星が7つ見つかっている恒星「TRAPPIST-1」のような赤色矮星では、恒星の表面で発生する爆発現象「フレア」が起きやすいことが知られています。フレアは生命を脅かす放射線を惑星にもたらすことがありますし、長い目で見れば惑星の大気を少しずつ奪い去ってしまうことも考えられます。

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「太陽系をよく見て下さい。火星もハビタブルゾーンの中にあり、かつては液体の水をサポートしていましたが、乾ききってからずいぶん経ちます」そう語るブリティッシュコロンビア大学のBrendan Dyck氏らの研究グループは、惑星の表面に水が保たれるかどうかは地殻の厚さに左右される可能性を指摘しています。「たとえ惑星がハビタブルゾーンにあったとしても、生命の居住可能性は初期の形成段階にかかっています」(Dyck氏)

■地殻が厚い惑星では水が内部へ取り込まれることで表面からは失われてしまう可能性

初期の惑星内部では、軽い岩石の成分が上へ重い金属の成分が下へと分かれていく「分化」というプロセスが進みます。分化した岩石成分は地殻マントルを、金属成分はコア(核)を形成します。研究グループによると、コアが大きな惑星ではマントルの鉄含有量が少なく、地殻は薄くなりますが、コアが小さな惑星ではマントルの鉄含有量が多くなり、火星のように鉄が豊富な厚い地殻が形成されるといいます。

研究グループは、地殻が厚い惑星では地表の含水鉱物が火山活動によって埋没したり、リソスフェア(地殻およびマントルの最上部)の一部が沈み込んだりすることによって、水などの揮発性物質が惑星の内部へと効率的に運ばれていくと考えています。地球では内部に取り込まれた水などの一部が火山活動によって大気中に放出されていますが、地殻が厚い惑星における揮発性物質の移動は一方通行であり、内部に取り込まれた後で地表へ戻ることはないようです。

「惑星のマントルに含まれる鉄の量さえわかれば、地殻の厚さを予想し、そこから液体の水および大気が存在する可能性も予測できることを私たちは示しました」と語るDyck氏は、今年10月に打ち上げが予定されているアメリカ航空宇宙局(NASA)の宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」に言及。太陽系外惑星系の化学的性質の調査を目標のひとつとする同望遠鏡が「系外惑星の表面がどのように見えるかのアイディアだけでなく、生命の故郷であるかどうかのヒントさえ与えてくれるかもしれません」と期待を寄せています。

 

 

Image Credit: NASA Ames/JPL-Caltech/T. Pyle
Source: UBCO
文/松村武宏

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